結婚披露宴にいた「スター」の話


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結婚式に行くと、たいてい一人くらいは目立つ人がいるものだが、今日のは強烈だった。
気になりだすと止まらない。ズルいくらい面白い。はっきりいってスター性を感じた。

その人(以降、便宜的に「スター」と呼ぶことにする)は、新婦の会社の上司。相当偉い人だそうだ。
見た目は普通のおじさんだ。痩せ型で背が高く、頭髪についてはかなりの後退を余儀なくされている。

彼が只者ではない兆候は、祝辞を述べているときからあった。

式がはじまった直後、乾杯前の祝辞。
スターは最初は緊張していたが、話が(ケーキカット代わりの)日本酒樽の鏡割りに及ぶと、急に口が滑らかになりだした。
ムッチャ日本酒に詳しい。何やら専門用語や銘柄地名の類の言葉がバンバン出てくる。ときおり、ふと話すのをやめて、

「……美味しそうですよねえ……」

と、しみじみとつぶやく。
どうやら心底お酒が好きらしい。

その後、披露宴が進むにつれて、僕は、あることに気がついた。

ときどき、視界の端に、スターがピョコンと現れるのだ。
何度も何度も。

奇妙に思い、彼を目で追ってみると……

彼は、カメラマンになっていた。

彼はカメラも好きなようだった。キヤノンの一眼レフ。プロっぽいゴツいフラッシュをプロっぽく天井に向け、バシャバシャとスナップを撮影している。

スターはとにかく良く動いた。劇団四季のダンサーばりに披露宴会場全体を縦横無尽に駆け回り、全ての人をあらゆる角度から撮影した。

ピョコピョコしてるのは、彼がしゃがんだ状態から勢い良く立ち上がるときの、軽くジャンプ気味になってしまう姿だったようだ。そのくらいの運動量だった。

しまいには自ら「公式カメラマン」を名乗り出した。

それなのに、なのに。

何人かまとまっての集合写真を撮るときに限って、スターは、

「はーい撮りますよー、3、2、1!」

と、片手の指で数をカウントするのだ。

片手だけで支えられている重いカメラが、揺れている気がしてならない。
そこはカメラを一番両手でしっかりホールドしてないといけない場面じゃないの?!
写真ブレちゃうんじゃないの?!

僕はあの321が、気になって仕方なかった。
あるいはこれも彼のスター性のひとつなのかもしれない。

スターは、撮られるときも、そのスター性をいかんなく発揮した。
満面の笑顔で、両手を思いっきり左右に伸ばし、ピースをしながら倒れる直前くらいまで前のめりになる。

女子高生かと思った。

極めつけは、最後の、新郎新婦並びにご両親の挨拶のときだ。

騒がしかった会場も、このときばかりは神妙になる。
シンとした中、新郎のお父さまが手紙を読もうとした、まさにその時。

人影から、急にスターが飛び出してきた!!!
野生の猿のように低い姿勢で新郎新婦の目の前に現れ、新郎新婦を見ている僕たちを素早く撮影し、またサッと人影に隠れていった。

バレーで、ボールをスライディングレシーブで受けてすぐさまポジションに戻る、そんな速度の動きだった。

一番静かにしなきゃいけない場面で、前振りなくそんなムーブを披露するのズルい。まさに「笑ってはいけない」の世界。多くの人の肩が震えていた……

全く、スターの引き出しの数は半端じゃない。お酒。カメラ。動き。
きっとまだまだ奥が深いのだろう。あと何回か変身を残しているような気がする。

特筆すべきは、スターが結婚式をとても楽しんでいたことだ。
彼は常に笑顔で、献身的で、活動的で、明るかった。
頭髪はアレなのかもしれないが、彼は青年のように爽やかだった。全く嫌味がなく、気持ちの良い人だった。

帰りぎわ、友だちと、「あんな人が、まだまだ世の中にはたくさんいるんだろうね。世界は広いわ」と語り合った。
いやー楽しい結婚式でした。名前出していいかどうかわからないので伏字にしますが、き○○ろさん、ぴ○○こさん、おめでとうございます! 末長くお幸せに。

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