現代の神話としてのスター・ウォーズ


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まず最初に、これはスター・ウォーズ批判ではないことを断っておきます。

えっと、僕の感想とジョージ・ルーカスの発言が似ていて驚きました。
僕のはサラリと穴だらけに書いた割に公開するのは結構な勇気がいったのですが、やはりそう思う人も中にはいるよなと思いました。

ルーカス:

「結局いくらストーリーを見せても『ファンの喜ぶものをつくりたい』と言われてしまう、そこが問題だった。だから言ってやったんだ。僕がやりたいのはストーリーを語ることだってね。
要は宇宙の叙事詩さ。主題は家族の軋轢であって、宇宙船の軋轢ではない。でもそんなストーリー要らない、俺たちは俺たちのつくりたいものつくるっていうことになったので、『わかったよ…じゃあ好きにすればいい』となったのさ」

ジョージ・ルーカスの覚醒:ギズモード より

僕:

あとついでなので、007とスターウォーズ7の感想を簡単に書き留めておきます。
両作とも、とてもお金と技術とセンスと情熱と時間が注ぎ込まれていて超大作。面白さのK点は余裕で超えているトコには拍手を惜しみませんが、個人的な感想としては「怯えてるなあ」という感じを強く持ちました。既存のファンからブーイングされないように、批評家からブーイングされないように、観客からブーイングされないように、怯えて怯えて、ブーイングされそうなポイントをひとつひとつ潰して漏れなく作品にブチ込んで、誰からも嫌われないようにしたな、と。そしてそのせいで、残念ながら思う存分楽しむことができませんでした。
この「怯えていた」をマーケティングというのかもしれませんが、個人的には、マーケティングニーズを丁寧にすくい上げて作る作品よりも、世間の予想を越えようとしてくる作品の方が好きです。今年の例だとマッド・マックスとかチャッピーとかスヌーピーとか(スヌーピーは本当に素晴らしいです)。

相変わらずキティは仕事を選ばなくてすごい(&007とスターウォーズ7感想):小鳥ピヨピヨ より

ところでネタバレすると、僕の考えには元ネタがありまして、僕は神話学者のジョゼフ・キャンベルの大ファンで、彼によるスター・ウォーズの捉え方が大好きなんですよね。

(最初に軽く読むなら、「神話の力」がオススメ)

今手元に本がないので、超ざっくりと概要だけを書きますが、確かこんな感じの内容だったと記憶しています。

● 人類には神話という物語が必要だ。それによって、人生の道標を得ることもできるし、他者を理解し、共同体とつながることができる。
● 神話とは古代だけのものではない。たとえば現代の神話としてスター・ウォーズがあげられる。
● スター・ウォーズには、外的状況(最新技術や巨大な敵など)vs禅的・内省的要素(フォースやジェダイなど)、父と子の葛藤や英雄の物語といった古典的な神話の要素、冒険と危機と成長、運命を感じざるを得ない偶然、などなど全てが入ってる。
● それに、大ヒットして世界中で受け入れられた。それも現代の神話である要素のひとつ。

キャンベルとルーカスのどっちが先だったかわかりません。僕の記憶だと「ルーカスがキャンベルの本を読んで、スター・ウォーズを作り、それを観たキャンベルが(自分の著書が影響を与えていたと知ってか知らずか)これは現代の神話だと理解する」という流れで、2本のよった糸のようになっていたと記憶しています。

だから、スター・ウォーズでは、「物語」が重要なのです。あれは共同体みんなで共有するひとつの物語、若い人たちに送る人生の地図のひとつ、すなわち神話なのですから。
いろんな宇宙人がガヤガヤしていたり、光の剣によるタイマンの喧嘩があったり、宇宙船による戦争があったり、ロボットが活躍したり、戦闘機のデザインが格好良かったりするのは、外側の要素であり、内側のぶっとい芯には普遍的で心の奥底に響く物語がないといけないと、個人的には思うのです。

外側があまりにも格好いいし最高なので、そこさえちゃんとやってくれれば「客が見たいものを見せてる」ことになると考えるのは無理もないのですが、でもストーリーがぶっとくないと、それは二次創作的なものになってしまうんじゃないかと思います(逆に7は超お金をかけて作った二次創作と考えれば、お客の見たいもの全部盛りで素晴らしいと思います)。

あまり良い例ではないですが、昔の大ヒット曲ばかりが歌われるライブみたいな。確かに盛り上がるでしょうが、そこからは何も新しいものは出てこないし、今という時代を的確にとらえた深みもない。昔の大ヒット曲だって、出た当時はその斬新さが受けたんでしょうけど。

(そういえば大昔にフジロックにRUM DMCが出て、中途半端なライブをして帰っちゃったとき、「ガッカリした」みたいなことを言ったら、側にいた音楽関係者みたいな方から「ふざけんなお前! あの伝説のRUM DMCがわざわざ来て、ステージに立ってくれたんだぞ! それだけでも奇跡なのに、ライブがつまんなかったとはなんだ! 今すぐフジロックから出て行け!」といって殴られたことがあったことをふと思い出しました)

んーでも、スター・ウォーズは、もう懐メロというスタンスから楽しんで、制作側には既にできあがった世界観を壊さないようにすることだけを願っていればいいのかな……書いてるうちにわからなくなってきました。
それに、3部作のまだ1話目ですからね。これから21世紀の新しい神話ができあがってくるのかもしれません。

僕はとにかくエヴァが90年代の懐メロ映画として終わってしまいませんように、ということだけが心配でございます。

 

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