良いアニメを観ると哀しくなるのは何故?:『ひるね姫』感想


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Hirune2017031802

何故かっていうと、理由は、「日本は今後もこのようなアニメを作っていけるのかな?」と悲観してしまうから。

僕の周囲だと、知識・知恵・分別がある人であればあるほど、「日本はこれから衰退していくしかない」って言うんですよね。
人口ピラミッドが逆三角形になる。社会保障費が増大し、将来への投資や支援にお金が回らない。他国では若く優秀な人が続々と台頭してきて、国家がそれを支援する。日本は負ける。もうダメ。衰退決定。きっつー。あとはできるだけソフトランディングできるかが問題。我が子は海外で活躍させよう。云々。

メディアも似たような悲観論(「悲観論じゃない。現実だ」と言う)を流すか、あるいは逆に、やけくそ気味に「日本はすごい!」「世界は日本をこんなに尊敬している!」というプロパガンダを流すばかり。

「クール・ジャパン」という国家政策もだいぶ前からあるけど、それによって、たとえばアニメに携わる人の労働環境が著しく改善したとか、アニメにかける予算が激増したとか、巨大産業として世界中の才能を引き寄せているとか、アニメ監督がビリオネアなセレブになったとか、アニメの世界での上映館数が倍々ゲームで増えているという話は聞かない。

でも、日本のアニメって、今すごく面白い、下手すると一番面白い状況にあると思うんです。
深夜帯だけど(だからこそ?)、毎クール大量の新作が出てくる。いろんなジャンルでいろんな実験が行われている。一般受けする方程式も上手に取り入れる。

僕も、しばらくアニメ観てなかったけど、ここ数年また観はじめましたからね。
(ちなみに今クールは『リトルウィッチ・アカデミア』が好きです。)

日本のアニメは、潜在的には、ピクサー/ディズニー的な3DCGアニメに対抗できるオリジナリティとクオリティを持っていると思います。
なんだろうなこのレベルの高い独自性は? 西洋絵画に対する浮世絵といいますか。

アニメ好きな方からすると「なにをいまさら」な意見でしょうが。

なので、『ひるね姫』の試写会の帰りも、楽しかったと共に、冒頭のような気分に襲われたわけです。

『ひるね姫』は、ザ・日本のアニメ! という感じの、素敵な映画でした。
ネタバレはしないでおきますが、「世界を救う系」ではなく、もっと個人的な物語です。しかし、個人的であるにもかかわらず、「夢」というギミックを上手に使って、とてもダイナミックに動きまくる映像世界が広がっています。

不要なお色気シーンもないので、子どもと観に行っても安心です(重要!)。

『時をかける少女』から『君の名は。』から〜の系譜につらなる作品だと思いました。ああいう、青春系、さわやか系、ちょっと不思議系。

それと、『ひるね姫』には、下手したら来年の今ごろには実用化されてるんじゃないかというレベルでの近未来SFガジェットも、物語上重要なアイテムとして登場します。この辺は神山健治監督らしいですね。

主人公の森川ココネが、どんな状況にあっても、のんびりと脱力していて、周囲の人々のことが好きで、背伸びをせず等身大でいることが、この物語の背骨になっていると思いました。
あんまりボヤッとしているので、やっちゃいけないことやったり見逃したりしてイラッとすることもあります。でも、いつも「なんとかなるさ〜」と状況を受け取めるその柔らかな態度が、結局ハッピーエンドを引き寄せています。

この記事の冒頭に、日本の将来が云々とか書きましたが、森川ココネのキャラクターは、そんな時代へのアンサーにも感じました。ま、力を抜いて行こうよ、頑張ればきっと大丈夫だよ、みたいな。

日本アニメの良作として、個人の心の中に長くしみじみとした余韻を残すと思います。観て良かったです。

【ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜】
上映:2017年3月18日(土)〜
原作・脚本・監督:神山健治
公式サイト

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