恐らく、岡村靖幸は知らなくても、岡村靖幸の曲を耳にしたことがない人はいないと思います。作詞作曲能力、パフォーマンス、サービス精神、どれを取っても群を抜いてオリジナリティに溢れ、才能があるアーティスト。日本が誇る、エッチでキュートで笑いも取れるなファンク・モンスター、でした。
「でした」というのは、ここ数年まともな活動をしていないからです。最後に見たのはもう思い出せないぐらい前。そのときすら「久しぶりの復活」で、尋常じゃなく太ってしまった体でライブした後は、また姿を見せなくなってしまっていました。
ちなみに、僕が岡村ちゃんを見たのは、上記の「久しぶりの復活」の時が最初。ギターをつまびきながら女子高校生のソックスについて情感をたっぷり込めて歌い上げる岡村ちゃんに、僕は惚れ込み、そして次も行こうと決めたのですが…6、7年の歳月が流れて、今日に至りました。
ZEPP東京は超満員。3000~5000人くらい? 熱狂的な女の子たちが、はじまる前から浮き足立っています。何年もまともな活動をしていないアーティストとしては、破格の人気なのではないでしょうか?
そして、ライブスタート。岡村ちゃんがHipHopダンサー2人を引き連れて現れます。前よりはちょっとは痩せたような。音が流れ出します。ベースを聞かせた、前よりもさらに一段とファンクに寄ったサウンド。歌いはじめます。昔とは歌い方が変わっていました。高音が出ない代わりに、低音がすばらしく響く声になっていました。男前声。バリー・ホワイト風。
途中で、「オゥオゥ~、ゼップトーキョー、久しぶりだぜぇ」と歌いだします。ブレイクダンスともヴォーグともつかない、ダンス甲子園のどすこい同好会のような奇妙な動きで踊る、踊る! ああ、岡村ちゃんだ! 岡村ちゃんが帰ってきた!
途中で、岡村ちゃんがキーボード席に座り、キーボードの女性が前に出てきました。「今日のために、岡村さんが詩を書いてくださいました」。詩を読み上げはじめます。「新一の橋の交差点で、天使が『頑張れよ』と囁いた。『何を?』と聞くと、『ZEPPに決まってるじゃん』と言った…」。詩の合間合間に、岡村ちゃんが即興でちょっとつまびきます。
再び歌いだす岡村ちゃん。徐々に高音も出るようになってきました。太った体で側転も決めます。エッチなしぐさも決める決める。ラップのようなところは、スタッフに歌詞カードを持たせてそれを堂々と読み上げます。ピアノの弾き語りも当然やります。「オーイェイ、お前とビーナスフォート行きたいぜぇ。お前のためなら財産の、えーっと、1/3ぐらいなら使ってもいいぜぇ。素敵なキスをくれたらまじめに働くぜぇ」。僕の隣の客が「そうだよちゃんと仕事しろよ!」と愛の声援。有名な曲(名前忘れた)を弾き、客に全部歌わせます。ちゃんと歌われるか心配そうな顔の岡村ちゃん。ちゃんと最後まで歌われて満足げな岡村ちゃん。
バンドを背に長時間にわたるダンスパフォーマンス。再び即興歌。「確かに一人ぼっちは寂しいぜぇ。確かに一人ぼっちは情けないぜぇ。確かに一人ぼっちは惨めだぜぇ。でも最近思うのさベイベー。一人ぼっちじゃないと大事なことは考えられないってさぁ」再び歌。そしてダンス。
最後に突如ギターがしゃべりだしました。「みなさん、今日は本当にありがとうございました。岡村も昨日飯を食べてた時『今回のツアーはお客に助けられてる』と言ってました」。隅っこの影に隠れて見えないところでうなずく岡村ちゃん。そういえば彼がトークするのを見たことがありません。尋常じゃなくシャイなのでしょうか。その反動がこのサービス精神旺盛のライブパフォーマンスなのでしょうか?
2回のアンコールが終わっても客は帰らず、延々とアンコールコールが続いていました。ZEPP東京のスタッフが強引に客を帰し出します。でも帰らないお客さんたち。岡村ちゃん、愛されてる。40歳近くになって、太っても、愛らしさを称え、明らかなカリスマとして、岡村ちゃんはファンの心に生きているのです。
岡村ちゃん、最高です! 一緒に行った岡村初体験の2人も、最高だ、また行きます、と言っていました。
僕は、岡村ちゃんは、日本のビズ・マーキー、またはジェームズ・ブラウン、プリンスになれると思っています。昔のようなアイドル扱いはもう難しいかもしれないけど、真のアーティストとして、日本の音楽史に確固とした地位を占めることができる才能だと思っています。そのためには、真の復活を! アルバムを作り、体を作り直して、精力的なライブを! 日本中の、本人が思っているよりよっぽど多くの、熱狂的でライブを見ながら涙を流しちゃうようなファンが、いつまでもいつまでも待っています。
そうそう、11月に、岡村ちゃんのファンクラブが発足するらしいですよ。詳細は今度見つけたらblogに書きますね。
【参考:見つかるだけ】
2ちゃんねる:岡村ちゃんスレッド(3日で1000件の書き込み!)
したらば:岡村靖幸板
スガシカオの岡村ちゃんへの愛(その他、岡村ちゃんをリスペクトするアーティスト数多し)
ファンのページ(一番充実してるのかな…)