切込隊長blogにとても良い記事があったので、感想などを書いてみようかと思います。
元の記事があまりにも頭がいいので、驚くほど頭の悪い記事を書いて全く無価値なトラックバックにならないように気をつけようと、ちょっと緊張してます……
アメリカ音楽業界の華麗なる自殺より:(P2Pによる音楽ファイル共有を)プロモーションという観点からすれば、何のインフラコストを負担することもなく楽曲があまねく浸透し、それが良いと思った何割かがCDを購入することによって別の対価(ジャケットや特典のシール、ストラップやコンサートの割引など)を得ようとするわけであり、潜在顧客の獲得という点においては非常に高機能なのだ。
P2Pが、「おまけを売る」スタイルの音楽ビジネスとマッチするには、以下のようになるととてもいいんじゃないかと思いました。
● 音楽を再生すると、その音楽のタイトル、アルバム名、アーティスト名、ジャケの画像、あおり文句、おまけ内容が表示され、クリックすると購入できる
● 「おまけ」の内容を死ぬほど工夫する。デジタルで複製しにくい価値を持ったものを考える。どんなおまけが良いのかは検討もつきませんが……
ところで、もしP2Pにプロモーション効果があるのであれば、大手レコード業界に属さないインディーズのアーティストが、P2Pの力で自分を宣伝して、飯が食えるくらいの儲けを手にするという構図が生まれてもいいはず。
実際はどうなんでしょう? なにげにそういう状態になっているアーティストが、もしかしたらいるのでしょうか……それとも、そういうアーティストはそもそもファイルがダウンロードされないので、P2Pによるプロモーション恩恵は受けられないのでしょうか……
どうも現在は後者なような気がしてなりません。それでも、P2Pをも巻き込んだプロモーション戦略を最初から立てていれば、まだ工夫の余地は残っていると、僕は考えます。
まあ、アーティストにしてみれば、
「プロモーション目的で、キミが死に物狂いで作ったものをタダで撒くよ」
「ええっ!?」
「いやいや、大丈夫だから。我々を信じなさい」
というのは、かなり不安な状況ではありますけどね(笑)。だからアーティスト側からの反対も根強いとは思います。
そういえば、昔読んだ、エスター・ダイソンの「未来地球からのメール」という本に、似たようなことが書いてありました。
要約すると、確か、こんな感じだったかな。
ネット上で、ある人が自分の意見や作品を、無料で公開していく。それが人気を博せば、例えば執筆依頼や講演依頼が来たり、企業からプロジェクトのお誘いがあったり、自分のネット上のデータを書籍やCDといった形で販売したりといった、周辺のビジネスが生まれる。著作権(と著作権ビジネス)は世界がデジタル化してくるとどうしても守りきれない部分があるから、いっそのこと無料で公開して、それを二次使用する人は相手への敬意表明とオリジナルの所在の明記のみ忘れないようにする。
これを最初に読んだときは「また随分と過激だなあ」と思いましたが、クリエイティブ・コモンズやblogのトラックバック機能、高機能検索、P2Pやパソコンの高性能化、ネットの広帯域化、などなどを見ていると、ITの進化の方向(の一部)は確実にエスターが予言したような方向に向かっている気がしてなりません。
もちろん他のあらゆる業界と同じように、このモデルで成功を収める人は、極少数の人のみでしょうが。と、ここまで書いて、ほぼ日は最初からこのエスタースタイルだったことを思い出しました。あそこって採算はどうなってるんでしょうね?