以前書いた「父、パソコン操作を蚊に阻まれる」をネタにして友人たちと笑いあっていたときのこと、友人Aが、次のようなエピソードを話してくれました。
私のお母さんがね、パソコン教室に行ってたんですよ。 しばらく通ってから「どう? ちょっとは判ってきた?」って聞いたら、「うん、バインダーの使い方は大体判ってきた」って返してきたんですね。バインダー?またえらくマニアックなアプリケーションを使ってるんだなあ、って思いながらよくよく聞いていたんですけど、どうもお母さん、フォルダのことをバインダーって言ってるっぽいんですよ。
確かに、フォルダというよりはバインダーに見えますね……
この友人A、別に本人はパソコンに詳しいっていうわけじゃないんです。こんなエピソードがあります。
友人Aがまだ社会人になりたてのころに、秋葉原にパソコンを買いに行ったそうです。
今まで使っていたのは、家族共用のノートパソコン。でも今回は、デスクトップPCを買おうと決心していました。
しかしやはり新入社員、そんなにお金があるわけではありません。パソコン使うといってもメールぐらいしかしないだろうし、そんなに大げさな装備は必要ないのです。
友人Aは、秋葉原のパソコンショップをざっと見まわして、まあまあ可愛いものを選んで店員に「これください」と言った後、パソコン本体を指して、
「これはいりません」
と言ったそうです。
友人Aは今までノートパソコンしか使ったことがなかったために、パソコンとはディスプレイとキーボードとマウスのことだと信じていました。だから、この四角い箱が、自分には用のない、可愛くないし場所も取る邪魔者に思え、この四角い箱を買わなかったら、その分安くなるんじゃないかと、そう考えたんだそうです。
もう1年以上も前の話だそうですが、ここで僕が、時空を越えてツッコミを入れさせていただきます。
それが本体なんだよ!
……それにしても、パソコンを買いにきた人がパソコン本体を指して、急に「これはいりません」などと言うものだから、店員もさぞかし困惑したでしょう。僕は、店員は何て返してきたの? と聞きました。
友人Aはこう言いました。
「『できません、セットですので』って言われました」
……その店員、本物のプロですね。もはや説明を全く諦めて、とにかく全てが丸く収まるように仕向けていこうというその判断力。見習いたいものです。