今日、事務所で、挨拶とかマナーとか敬語とかの講習がありました。
講師のお姉さんが、今思い出してもちょっと涙目になるくらい、怖すぎる人でした。
満面の笑顔で、部屋中に響き渡るような声で、
「お疲れさまです!」
と雄叫びをあげます。
講習生の中で、声が出ていない人がいると、満面の笑みで彼の顔を覗き込み、
「んー君は一体、何でここに座ってるるのかなー?
声を出さないんだったらここにいないほうがいいんじゃないかなー?」
と、恫喝します。
「お年を召した方でも、敬語を上手に使えない人がいらっしゃるんですよねー。
そんなとき思うんですよねー。『この人、今まで何をして生きてきたんだろう』って」
と、満面の笑顔で毒づきます。
挙句の果てに、
「敬語は、常識のボーダーです。
これがちゃんと使えるかどうかで、その人が常識人かどうか、判断されてしまいますからねー」
と、顔に満面の笑みを浮かべたまま、僕たちを脅しにかかります。
本気で怖い人です! 久しぶりに、ビクついて席に縮こまって授業を受けている感覚を経験しましたよ。
その場にいた人全員、はじまって10分程度で、すっかり心が折れ、講師のお姉さんの言いなりとなっていました。
まさに蛇とカエル。
さて、その講師のお姉さんが、やにわホワイトボードに絵を描きはじめました。
「みなさーん、この絵を見てくださーい。
Aは笑ってるように、Bは寂しそうに、Cは怒っているように見えますねー。
よく、自分は全然怒ってないのに、周りから『機嫌悪いの?』とか『何かあったの?』とか『今日怖いですね』とか言われる人はいませんかー?
その人は、上のBかCなんですねー。だからみなさん、毎日鏡を見て、顔がAになるように訓練してくださいねー。」
と、講師のお姉さんは説明します。
もちろん満面の笑みと圧倒的な迫力をたたえながら。
僕はこれを聞いて、心の中で、そっと思いました。
先生、言ってることと先生自身が、矛盾してます。
もちろん声に出しては言えません。だって怖すぎて。満面の笑顔で食べられそうなんだもん。
講習は、2時間ほどで、1人の死者を出すこともなく、無事終了しました。
終わった瞬間のみんなの顔から思わずこぼれる自然な笑顔が、忘れられません。