いやー届きましたよ。何がって、これ↓
おたく:人格=空間=都市 ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展-日本館 出展フィギュア付きカタログ
イタリアのビエンナーレというアートイベントの建築版の方に出展されたヤツの、カタログです。
Amazonから、事務所に届きました。周囲の同僚の、北極のように冷たい視線をよそに熟読。
そして思いました……いやマジで革命的にすごい。
何がすごいって、まずはコンセプトがすごい。日本の「オタク」空間を、オタクの部屋から、秋葉原、コミケ、ネットコミュニティへと有機的につなげていって、紹介するんです。
その紹介用に使っている写真は、本物のオタク部屋やコミケ風景。一切の虚飾ナシの、リアルな、そのまんまのオタクワールドを、イタリアのビエンナーレで堂々展開ですよ。
フィギュアもすごいよくできてる。表紙画像は、小学生の女の子みたいなのの股間にモザイクがかかってるんですよ。
全世界的にロリコンを規制する動きがあるというのに、このアヴァンギャルドさ。これを見たヨーロッパ人はいったい何を思うんだろう。唖然とするのか、全く新しい表現に感嘆するのか、あるいは常識を超えたインモラルさに激怒するのか。
考えただけで愉快でなりません。
フィギュア自体は、細かいところまでよく作られていて、しかも全体のバランスも素晴らしく、日本のこっち方面のクオリティの高さを、余すところなく見せつけた格好になっています。そうそう、股間のところは、ちゃんとパンツ履いてますから!
写真を撮って載せようと思ったんだけど……いや、これはぜひ、買ってみてください。特に今までオタクっぽいものに興味を持てなかった人たち。このカタログ1冊で、コアなポイントをとても効率的に押さえることができると思います。
僕はこのカタログを見て、胸のすく思いをしました。今まで、オタク的な感性を世界のアートシーンに発表してきた人といえば、村上隆じゃないですか。でも僕は、あの人の作品が、イマイチ好きになれなかったんですよね。本来は欲望むき出しで、場合によっては目を背けたくなるようなこのシーンを、なんだか外国向けに、都合よくカッコウつけて見せてるだけな気がして。それなのにオタク文化代表みたいな自己PRをしている気がして。
この「おたく:人格=空間=都市」は、そんな村上隆的な戦略に対してNOをつきつけていると思うんです。そして、それが良いものかどうかは分からないんだけど、本物のオタクを、剥き出しのまま見せつけてる気がするんです。
どうも、イタリアで行われている展覧会も、すごいことになってるみたいですよ。入り口にいきなり2ちゃんねる風AAが飾ってあったり(元祖はあやιいの油谷ですか?詳しい人すいません)、アニメポスターがすっかりアート思考のヨーロッパ人に晒されていたり、ヴァルキリーの3段変形もしっかり紹介されていたり……
い、行きてえ、すげえ行きてえ!
イタリアに住んでたら、ぜひ行ってください! そしてそこにいる人々と、この禍々しいけれど確かに新しい極東の文化について語り合ってください! そして結果を教えてください! お願いします(ということで、この記事を、美味しそう系blog最右翼の「うちの食卓 Non solo italiano」にトラックバックしておきます)。
おいそれとイタリアに行けない僕のような貧乏暇ナシは、泣く泣く、カタログを購入し、公式ページを眺め回す程度で、諦めますから……