終電。立つ場所を確保することすら難しい東西線の中は、誰も彼も疲れた顔をしていました。
僕の隣には、2人のOLがいました。2人とも疲れきっていそう。目の下には隈ができ、ファンデーションも顔の油で浮き上がっています。
2人は、飲みに行く約束の話?をしていました。
2人とも本当に精根尽き果てていたのでしょう。以下のような会話を、特におかしいと感じることなく、淡々と交わしていました。
A子:「金曜日何時待ち合わせにするぅ?」
B子:「私、明後日は忙しそうだから、9時ぐらいからがいいなぁ」
A子:「遅いスタートだなぁ。終電過ぎてオールになっちゃうかもよぉ?」
B子:「まあ金曜日はフライデーだから」
A子:「まあ、たまにはいいけどぉ」
ちょっと待て。
金曜日はフライデー?
説明になってないから!
僕は心の中でハッとしましたが、やはり疲れていたので、彼女たちの方をハッとして見つめることもなく、ただ悶々と心の中に突っ込みを抱え、今こうして「小鳥(a little bird)」を書いてます。
どうかなにとぞ、彼女たちの、そして僕の金曜日が、素敵なフライデーでありますように……
Girl Friday
やまだ ないと (著)