ついジャケにつられ、「日本国憲法」というドキュメンタリーDVDを見ました。
映画 日本国憲法 [DVD]
posted with amazlet at 05.09.24
ジャン・ユンカーマン
トランスビュー (2005/05/20)
売り上げランキング: 5,039
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おすすめ度の平均:
外の視点からみた憲法目からうろこです
今すぐ見て下さい
なんか出てくる人出てくる人、知の巨人な雰囲気の人だらけでしたね。
以下は、DVDの裏面に書いてあった、出演者と代表的な発言の一覧です。この辺からこのDVDのだいたいの雰囲気を察していただければ。
- 日高六郎:「憲法"改正"問題を国内問題にしちゃダメですよ。国際問題ですから」
- C・ダグラス・スミス:「押しつけ憲法だから問題なのではありません。すべてのいい憲法は、たいてい民衆が政府に押しつけたものです」
- ジョン・ダワー:「すべての戦士王は自衛の名の下で行われています」
- ベアテ・シロタ・ゴードン:「平和がいちばん、今世界でいちばん大きい重要な問題ですから、日本がそういう指導者になれば、素晴らしいことになると思います」
- チャルマーズ・ジョンソン:「武力行使の放棄を誓った第九条こそが、日本のアジア諸国に対する戦後謝罪だったのです。第九条の放棄は謝罪を放棄することです」
- ミシェール・キーロ:「自衛隊のイラク駐屯は国際法違反だと思います」
- ジョゼーフ・サマーハ:「憲法については何よりもまず、日本の近隣諸国に問うべきでしょう」
- 申蕙秀(シン・ヘス):「軍隊と女性の人権蹂躙というのは密接に結びついています」
- 韓洪九(ハン・ホング):「韓国と日本の若い世代が、平和的な感受性を一緒に育ってていくことが大事だと思います」
- 姜萬吉(カン・マンギル):「21世紀の東アジアではなぜ東アジアの人々の力で、自分たちの平和を維持できないのだろうか。なぜ、海の向こうの米軍がこちらにこなければ平和が維持されないのか」
- ノーム・チョムスキー:「もし日本がアメリカの体制に加わるなら、これは20世紀への逆戻りどころか野蛮時代への逆戻りでしょう」
- 班忠義(ハン・チュンイ):「憲法第九条はまるで、神が私たち人類に贈ってくれた宝物のようです」
これから数年、憲法改正に関する論議が国内で続くのでしょうが……マンガ嫌韓流だけじゃなくて、こっちも見ておくべきだなあ、と思いました。
もしかすると、なんとなく今のムードを見ていると、いざ改憲の際に、とりかえしのつかない間違いを犯しそうなので。
以下、自分の備忘録用に。
以下はDVDの中で、僕が印象に残った発言の記録。正確ではない可能性もあるので、正確性が求められる場合はDVDをチェックのこと。
- 憲法とは、国民が政府に課した制約。政府に強大な権限を与える代わりに、基本的に自分たちの権限を拡大したがる政府を押さえるために、憲法を制定した。だから憲法の主権は「国民」。
- 今の日本国憲法の成り立ち。今の日本国憲法は、「国民とGHQによる短期的な蜜月により生まれた」。当時の日本政府が最初に提出しようとしていた憲法改正案は、主権が天皇にあり、その他の部分もほとんど変わりがなかった。そこでGHQが憲法草案を練り直し(同時に民間の研究会も草案を練っていたが、完成品はGHQのものとほぼ同じ)、それを国民が大幅に支持し、政府は押し切られる形で、今の憲法が制定された。
- 当時のGHQ内の鉄則。「日本国民と日本政府を同一視するな。市井は政府ほど帝国主義的ではない」。
- この憲法を守り続けてきたのは日本自身。米国は、冷戦/朝鮮戦争/ベトナム戦争と続く中で、日本へ改憲要求を出し続けていた。以下僕の所感。要は、原爆を落とされ、街を焼き野原にされた僕たちの「二度と、何があっても、戦争だけはやりたくない」という意思の表れ。以下僕の所感。じゃあ今民間レベルで軍事増強的な意見が強まってるのは「中国や北朝鮮から俺たちを確実に守ってくれ」という国民の意思の表れ?
- 今のイラク派兵は「自衛」の範囲を超えている。国際貢献ですらない。アメリカへの貢献。
- よく韓国や中国が「日本は謝罪しない」とか「反省しない」とかいうけど、憲法第九条こそが、まさにその謝罪の証。「我々は、今後二度と、貴方達の国に攻め込まない。そのことを、公式に、正式に文書にします」という意味になる。以下僕の所感。だから僕たちは、堂々と憲法第九条を掲げ、韓国や中国の反日運動と戦えばいいのですが、それはできないんですよね。だって小泉さんは第九条を変えたいんですもんね。韓国や中国の反日は半分国家扇動っぽくてやりすぎで気分悪いですが、僕らも知らぬ間に、彼らに我慢できないほどの気分悪さを与えているかもしれないことを忘れないようにしたいと思います。
- イラン人のおじちゃん:「日本はアメリカに原爆を落とされたんだから、世界で一番戦争の痛みを知っている国民だろ? だったらアメリカに加担して、親のない子供をたくさん作るような真似をしないでくれよ」
- 中国では、どんな小さな規模でも、どの村がいつ日本軍に襲われ、レイプされ殺され略奪されたかを、細かく授業で教える。しかし最近、日本ではそれを教えてないことが中国に伝わってきた。それが不信感の根幹にある。以下所感。南京大虐殺は知ってますけどね。そう言われると国内の惨事は結構教えられますが、日本が他国に行った行為はあまり教えられませんね。そこがナチスと自分たちを明確に区分し、徹底的にナチスの行為を暴いたドイツとは違うところですね。
- 基地のあるところが狙われる。だから軍備拡大は安全wくぉ生まない。軍備に力を入れれば入れるほど、むしろ狙われる。日本はどうせ軍事大国にはなれない。だから憲法第九条を改正して軍備を増強したって、危険が増すだけで無駄。
- アジアには、日本に対する根強い不信感がある。「本当にもう旧日本帝国ではないのか」「またいつか戦争をしかけてくるのではないか」という不信感。それをかろうじて押さえていたのが憲法第九条の存在。だから、もし憲法第九条の変更が行われれば、アジア全体に緊張が走るのは間違いない。日本はアジアでの緊張をより高める方向ではなく、より仲良くする方向、そしてEUのような共同体を目指す方向を模索すべきではないか?