ダライ・ラマが、般若心経(Heart Sutra)とは何か、特にそこで使われる「空」とは何かについて、いつもどおりの笑顔で判りやすく快活に説明しています。
いや、なんかね、判った気になりましたよ。でも大事なのはそっちじゃなくて……
このドキュメンタリーで、ダライ・ラマは、まずは般若心経の仏教での位置づけや歴史的な話をします。
次に、般若心経の最重要キーワード「空」について、判りやすく説明します。理解はしやすいのですが、哲学的に異常に深くて、ついていくので精一杯で軽く頭がクラクラします。
そしてそれからいきなり、この世の全ての悩みを解決する手段について、話をします。ここで、哲学としての般若心経が、急に人を癒す仏教となります。
話のレベルがあっちからこっち、こっちからあっちへと縦横無尽にジャンプするそのトリップ感。ダライ・ラマの中では、全ては同じ次元の話なのでしょう。
そして語り口はあくまで「愉快なおじいさん」のようで、人懐っこくよく笑う。威張ったところなど少しもない。
真の宗教者とはこういう人のことをいうのでしょう。もう15世とかいらないので、ずっとこの14世に生きてて欲しいものです。
観た後、何故だか心がスッキリしていること請け合いです。
時折さしはさまれるチベットの風景映像やチベットでの祭りの様子も、美しいです。チベットに大量の白人が見物に来ているのも意外でした。
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ところで、詳しくは映画を見てもらうとして、今アッサリと般若心経の「空」について述べるとすると……
全てのものは、相互依存しています。それ自体独立して存在するものはありません。と、確かこんな感じの意味合いだったと記憶しています。ご参考までに。
全てが相互依存しているからこそ、全てのものは繋がっていて、無限に増え、広がっていきます(マントラの世界?)。
それが現実です。この現実を理解していれば、もし苦しいことがあったとしても、マクロ的な視点で物事を捉え、穏やかに受け入れ対処することができるでしょう。
逆に現実を知らず無知のままであれば、ものの見方が狭くなり、ささいなことでも悩んでしまうでしょう。
だから、般若心経を学ぶことは、有益なのです。
かなり自信ない。やっぱ自分で観てみてください。DVDも出てますので。
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少し話はそれますが、最近皇位継承問題でも話題になったY染色体ですが、日本人とチベット人って、相当似通ってるんですよね。
どうりで何か親近感があるわけだ、とか思いました。でも……
映画館を出て、受付を見てみると、そこには「中国政府による対チベット政策について」というパンフレットがおいてありました。
ざっとしか読んでいないですが、今経済がイケイケで世界中からチヤホヤされている中国は、台湾と同様チベットを認めておらず、その国だけではなく宗教や文化も、あの手この手で撲滅しようとしているとのこと。
非暴力を旨とする平和の民を。
あんなデカいんだからちょっとくらいチベットに土地くれてやればいいのに。自治認めてやればいいのに。
そろそろ人類は経済や陣地取りを超えて、そういう知恵を持ってもいいのに。
本題から外れるので深く掘り下げて書くのはよしますが、とにかくイヤな話だな、と思いました。
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さて、この映画、12/6まで、月・火の21:00から、渋谷のUPLINK Xでレイトショーやってるみたいです。
僕が行ったときは、オシャレな若い男女で満席でした。どういうことなんだろう? そういうことなんだろうか?
また、UPLINK Xの1階は、同じ経営母体のカフェ「Tabela」があります。全て無農薬有機野菜を使っていて、店員もフレンドリーで洒落ていてコーヒーもお酒も美味しいカフェです。
来週の月曜か火曜は、Tabelaで特製チベットカレーを食べて、その後「ダライ・ラマの般若心経」を観るというデートはいかがですか? 年末進行でそれどころではないという話もありますが。
ダライ・ラマの般若心経 PHOTO BOOK & DVD
大谷 幸三 (著), 菊地 和男 (写真)