不肖わたくし、本を書きました。
マーケティング2.0
著者:磯島大、廣中龍蔵、関信浩、神原弥奈子、岩田真一、棚橋弘季、清田一郎、北村勝利、飯塚正治、いしたにまさき、中島聡、柿原正郎 監修者:渡辺聡
全身全霊を込めて、
書かせていただきました。
どういう本かと申しますと……
---------------------------
この本は、ITやネットにあまり詳しくない、
企業のマーケティング担当者や、
マーケティングに興味のある人に向けて、
書かれています。
「Web2.0」については本を読んでなんとなく把握したけど、
実際のマーケティングで、どう活用したらいいのか判らない。
でも、「ネットを有効に使ってなんかやれ」と言われている。
あるいはマス広告を打つ予算なんかないから、
ネットを有効に使いたい。
そんな人に向けて、可能な限り実践的に書かれています。
この本は、Cnetの「情報化社会の航海図」で有名な、
渡辺聡さんが中心となって監修した本です。
執筆者は12人くらい。僕はその中の1人です。
僕のコーナーの題名は「プロモ2.0」。
様々なWebサービスやコンテンツをゼロから企画し広めてきたという経験から、
ネット上の集団の動きの波をどう意識し、
どう乗っていったらいいのかについて、
15ページほどいただいて書かせていただいております。
全身全霊を込めて、書かせていただきました。
専門用語を極力排除し、平易な言葉を使うよう努め、
たとえ話(学園モノなど)や経験談を駆使し、
スラスラと読めるよう工夫しました。
自分の12年間のネット業界での経験を、
凝縮に凝縮を重ね、エッセンスのみを抽出し、
詰め込んだつもりです。
たぶん……僕のパートを読めば、
少なくともネット上のマーケティングに関しては、
人と人との日常やりとりと同様の常識が当てはまる
(あるいは、当てはめなくてはならない)のだ、
ということに気付かれると思います。
そして、専門用語やロジックのトレンドを活用しつつ、
その中の嘘や間違いをすぐさま発見できるようになるはずです。
さて、このたび1冊ご献本いただき、他の人の執筆も読んでみたのですが……
いやみなさん頭がいい!
どれもこれも、新しい洞察に満ちています。
現状を的確に捉え、利点も問題点も把握していて、
驕らずしかし遠慮せず、ズバズバと正しいことを書かれておられます。
こりゃ面白いや。
自分も含め、各執筆陣のパートから、興味深い部分を、
1行ピックアップしてみましょう。
第1章:ネットの普及、Web2.0が企業にもたらしたもの
「1…メディア化する企業、媒体化する消費者:渡辺聡」より:ユーザーは自然と口コミ情報を共有することで、広告を鵜呑みにしなくなりました。
「2…2.0時代のマーケティングプロセスマネジメント:磯島大」より:マーケターに求められる能力も、静的な作戦立案遂行から動的な対応力に比重が移るでしょう。
「企業事例:本田技研工業株式会社」より:われわれの狙いは、企業ホームページをメディアの中心に据えて、ほかのメディアをそこへ寄せていくという構造です。
第2章:企業と顧客の関係性の変化
「1…マーケティング2.0時代のウェブマーケティング、ウェブブランディング:廣中龍蔵」より:企業は、現在コーポレートサイトや製品ブランドサイトで訴求している購入前コンテンツ(Beforeコンテンツ)から購入後の使用感がよくわかるようなコンテンツ(Afterコンテンツ)に軸足を移すべきであると考えます。
「2…新しく築かれる顧客と企業の関係性とコミュニケーション設計:関信浩」より:しかしネット社会ではトラブルを隠蔽できません。したがってトラブルにどう対応するかという、いわゆる「鎮火能力」が試されているのではないでしょうか。
「3…時代はPR2.0へ:神原弥奈子」より:編集・加工される元としての「プレスリリース」から、そのまま、情報として届く「ニュースリリース」へ。企業発の情報のあり方も大きく変わらなければなりません。
「企業事例:KDDI株式会社」より:コーポレートサイトというのは、会社としての全ての活動が凝縮されて表に出る極めて総合的・俯瞰的なものです。
「サービス事例:Skype:岩田真一」より:テキストのコンテンツが辿ってきた道を今後ボイスも歩むと考えれば、単純にそのまま当てはめることによって、予測を立てることができます。
第3章:Web2.0を自社に取り込む
「1…スパイラルアップするマーケティングとは:棚橋弘季」より:投稿されたユーザーからのコメントやトラックバックを、自分たちが発信した情報と立場は違っても、同じだけ価値がある情報として扱い、それを実際のデザインにも反映できているでしょうか。
「2…プロモ2.0:清田一郎」より:「顧客」は「消費者」ではないのです。顧客はわたしたちとともに、フローを起こし、変化を生み、相互作用し、価値を作り上げていく人々です。ですから、むしろ生産者なのです。
「企業事例:カカクコム」より:実はうまくいくノウハウとは、極力何もしないことなのです。
第4章:モバイルとマルチデバイス
「1…MOBILE2.0を考える:北村勝利」より:たとえば通勤途中、駅のポスターや中吊り広告で気になったキャッチコピーや目次情報は、関心がホットなうちに、思い立ったその場で詳細情報が入手・確認できれば、より利便性が高くなります。
「2…モバイルプロモーションの実際:飯塚正治」より:コミュニケーションを恐れないメーカーはアグレッシブに、楽しいこと新しいことに、挑戦し、成功しています。
「3…モバイルプロモーションの可能性と未来形:いしたにまさき」より:機能面での訴求ではなく、シーンの訴求がモバイル端末ではキーファクターになることでしょう。
「サービス事例:UIEvolution Inc.:中島聡」より:ここで最も重視していることは、「アプリケーションのダウンロードやインストール」という行為からユーザーを解放することにより、一般ユーザーにとっての敷居を思い切り低くすることです。
第5章:今後の課題と対応策
「1…ゲートキーピング戦略:柿原正郎」より:このように、Web2.0時代のマーケティングを考える際に、これまであまり光の当てられてこなかった点が、この「収益への接続」と「リアルへの接続」の視点です。
「2…傾向と対策:渡辺聡」より:概して自社サイトはおまけ的な扱いをしている企業が多く見受けられますが、サイトの設計に本腰を入れて見直すべき時が来たことを裏付けているのではないでしょうか。
間違いなく、ネットにおけるマーケティングの最先端の1つでしょう。
読むだけで自分が相当デキる人間になってしまったような、危険な錯覚に陥る本です。
それにしても、共著とはいえ、
自分が書いた本ってのは、可愛いものですねえ。今なら目に入れても痛くないかもしれません。
書籍の編集自体は何回か関わったことがあります(1、2、3)が、
執筆ははじめてです。
僕には全く印税とか入ってこないのですが、
マーケティングに興味のある全ての人はもちろん、
まったく興味のない方にも、最低3冊はご購入いただきたいと、
そう思います。
マーケティング2.0
著者:磯島大、廣中龍蔵、関信浩、神原弥奈子、岩田真一、棚橋弘季、清田一郎、北村勝利、飯塚正治、いしたにまさき、中島聡、柿原正郎 監修者:渡辺聡