昨日、僕はお台場の方に行きました。
周囲はコミケ帰りの男女でムンムンしていましたが、
僕の目的はそっちじゃなくて、科学未来館。
星野道夫メモリアルプロジェクトに行ったんです。
そしたら、超意外な人の超意外な姿を、目撃することができました。
----------------------
それは、第2部の頭の方で、起こりました。
壇上には、机と椅子、机の上にはいくつかのロウソクが置かれています。
突然会場が暗くなり、女性が現れて、ロウソクに火を灯しはじめました。
全てのロウソクに灯りがつきます。
光はそれしかないので、女性の顔は見えません。
女性は、ロウソクを1つ持って、
星野道夫の著作を朗読しはじめます。
超ヘタクソなんですよ。朗読が。
とちりまくっていて、棒読みで。
聞くに堪えない。
そして、朗読の後にしゃべる彼女の感想がまた……
なんというか、ブログレベルの話で、
100人くらいの聴衆の前で話すような内容ではありませんでした。
未来館の係員が、場つなぎのために、
無理やり読まされているのでしょうか?
僕はなんだか、彼女が可哀想になってきました。
でもですねえ。
なんかすごく自信たっぷりなんです。堂々としている。
そして、とても自然で、リラックスしていて、どことなく、感じが良いんです。
壇上から降り、ロウソクを持って客席を巡り、
そこで座って、本を読む。
しゃべりをとちったり、どもったり、
歩いていて蹴つまづいたり、間違ってロウソクを吹き消したり、
壇を登ったり降りたり、客席のどこに腰掛けようか迷っているときに、
ポロリと漏れるアドリブの一言が、
非常にフレンドリーで、癒し系だというか……
きっと、非常に性質のいい人なんだろうな。
非常に大人なんだろうな。
育ちがいいんだろうな、と、思いました。
朗読会としてはスキル不足すぎて破綻していたのですが、
あの人と仲良くはなりたいな、と思いました。
で、そんなこんなで、イベント終わった帰り道。
電車の中で、相方とイベントの感想を話し合っているとき、ふと、
その朗読が下手な女性の話になりました。
僕:「途中で出てきた女の人のパフォーマンスさあ、あれ何だったんだろうね?」
相方:「え? あれ、山口智子だよ?」
山口智子?
好感度ナンバーワン女優の?
相方:「知らなかったの? だから周囲の人もすごく楽しそうだったでしょ?」
全然気づかなかったよ!
あれ、山口智子だったんだ。
暗かったから判らなかった!
だからあんなに、何をやっても自信たっぷりだったんだ。
だからあんなに、自然体だったんだ。
だからあんなに、いい感じだったんだ。
あの山口智子が、あたかも自分の親しい友人かのように、
みんなのそばに寄って、
素朴に、リラックスして巣の自分をさらけ出しているようだったから、
だから周囲の人たちは、彼女が何かするたびに、
大げさに笑ったり拍手したりしていたんだ。
でもさ……朗読、超下手だったよ?
下手っていうより、あれは完全に素人だったよ?
僕の方が上手いと思ったよ?
相方:「だから、そういうことなんじゃない?」
あれが彼女の実力、ということか……
技術レベルは超低く、存在感と雰囲気は超一流。
演技者としては、相当めずらしいけどアリなスタイルだな、と思いました。
イラストの世界におけるヘタウマ、というか……
いや、惜しいことした。もっとちゃんと見とけば良かったなあ。
----------------------
それにしても、いいもの見させてもらいました。
好感度をあげるコツが、よーく判りましたよ。
自分の能力不足に臆することなく、
リラックスして、威張らず背伸びをせず等身大で、
そして堂々としていることなんですね。
肝に銘じておきたいと思います。
手紙の行方―チリ
山口 智子
反省文-ハワイ
山口 智子