例によってタリーズコーヒーで、人生の行き先について漠然とした不安を抱きつつコーヒーをすすっていたときのこと。
隣の大学生グループが、前世の話をしていました。
サーファー風のイケメンな若者が、自分の前世を調べたそうで、それを女子大生3人組に熱心に話していたのですが……
イケメン:「俺さ、この前、前世を占ったんだよ」
女子大生:「へー! で、どうだったどうだった?」
イケメン:「いや、それがさ……」
女子大生:「なにもったいぶってんの! 早く言いなさいよ!」
イケメン:「俺、前世は、コーヒー豆だったんだって……」
そう言ってイケメンは、悲しそうな、しかしどこか懐かしそうな目で、かつては親兄弟だったかもしれない、レジカウンター後ろの、粉々に挽かれるのを待っているコーヒー豆に目をやりました、ような気がしましたが、僕の全くの気のせいだったかもしれません。
確かにそのイケメンは焦げ茶色に日に焼けていました。もしかすると、それは彼がスポーツマンあるいは日サロに足しげく通ったせいではなく、前世がコーヒー豆だったからなのかな、と思いながら、僕はコーヒーをもういっぱい飲んだ、そんな梅雨の昼時でした。
いずれにしろそのイケメンは、女子大生3人組を笑わせることができたのだから、充分元は取れたと満足してるとは思います。
前世ソウルリーディング―あなたの魂はどこから来たのか
ジャン スピラー (著), 東川 恭子 (翻訳)