ザ・ブルーハーツ(現クロマニヨンズ……とか言ったら怒られるのかな……)は名曲を大量生産した奇跡のようなバンドでしたが、僕が最も好きな曲の1つが、「パンク・ロック」というナンバーです。
1987年くらいに発表されたこの曲は、「パンク」について、以下のように歌い上げます。
ボク パンクロックが好きだ
中途半端な 気持ちじゃなくて
本当に心から 好きなんだ
ボク パンクロックが好きだ
パンクという、暴力的でアンダーグラウンドで破壊性や自虐性をも込めたようなものに、これほど素直でポジティブな言葉をあてたことに、当時のボクは衝撃を感じました。全くもって通常のパンクの雰囲気からは外れていますが、逆説的に、むしろパンクを感じました。
当時、パンクは一部の人以外には全く認められておらず、むしろ馬鹿にされ笑われ嫌われていました。
パンクは、今や完全に市民権を得ています。今はインディーズ的なものそのものが、アンダーグラウンドな日陰者でいることが難しい時代です。
じゃあ……今、当時のパンクに相当するような立場のものを当てはめると、どうなるのでしょう?
音楽だと難しいから……例えば……仮に、アキバ系のものとかどうでしょう? こんな感じで……
ボク 美少女ゲーが好きだ
中途半端な 気持ちじゃなくて
本当に心から 好きなんだ
ボク 美少女ゲーが好きだ
ボク アイマスが好きだ
中途半端な 気持ちじゃなくて
本当に心から 好きなんだ
ボク アイマスが好きだ
ボク ボーイズラブが好きだ
中途半端な 気持ちじゃなくて
本当に心から 好きなんだ
ボク ボーイズラブが好きだ
ボク メイド喫茶が好きだ
中途半端な 気持ちじゃなくて
本当に心から 好きなんだ
ボク メイド喫茶が好きだ
ボク 秋葉原が好きだ
中途半端な 気持ちじゃなくて
本当に心から 好きなんだ
ボク 秋葉原が好きだ
……なんだかすごく、僕が当時受けた衝撃をちゃんと再現できたような気がします。憶えてる人は、「パンク・ロック」のメロディにあわせて、ヒロトの声で、心の中で歌ってみてください。
こうやって現代の単語にあてはめてみると、当時パンクをあんなに素直に、カッコつけずに正面から好きだと言うことがどういうことだったのか、クリアに理解できますね。
世間には広く認められなそうなものを、ブルーハーツのこの歌詞に載せて叫んでみたら、何か新しい地平が開けるのかもしれません。
たとえあなたが、鉄道が好きでも、同性が好きでも、デイトレードが好きでも。