何故だろう? こんな光景にたまらなく惹かれてしまうんですよね。
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例によって先日タリーズコーヒーにいたとき、僕の隣に座っていたのですが……
ひとりは20代前半くらいの若者。もうひとりは50代くらいのおじさん。
2人ともスーツ。どうも営業の帰りっぽい感じでした。
おじさんは、
「こんな年寄りにお茶をつきあわせて悪いなあ。でも部下であるこいつと、もっと距離を縮めたいしなあ」
と思っているようです。
一方、若者は、
「自分の親くらい年が離れてる人となんて、話題ないよなあ。でも上司だから冷たくすることもできないしなあ」
と思っているようでしたね。
おじさんは、一生懸命話題を振ります。
若者は、一生懸命それに反応します。
おじさん:「最近、抹茶フラペチーノみたいのが好きなんだよなあ」
若者:「ああっ! 抹茶フラペチーノ! いいんじゃないですか!?」
おじさん:「でもあれ何だっけ? こういう店の大手? スターバックス? そうそう、そこの、アズキみたいのにクリームがかかってるやつとか、あれは甘すぎていやなんだよなあ」
若者:「あーっ! 甘すぎるのはカンベーンですよねー!!!」
おじさん:「そういえば、スキューバ用のゴーグル買ったんだけど、度が入ってないから、全然見えねーんだよ」
若者:「へーーっ! スキューバやるんですか! ゴーグルって水泳のみたいのですか!?」
おじさん:「スキューバは、今プールで練習してるんだよ」
若者:「へーーっ! へーーっ!」
おじさんが、何とかして若者らしい会話をしようと努力しているのが、遠く離れた僕にもヒシヒシと伝わってきます。
若者が元気に返事をすればするほど、心がこもっていない様子がクッキリとしてきます。
毎日のように、日本中で繰り広げられているこんな光景。
全然噛みあってないのに、互いに一生懸命なんですよね。
不毛だけどある意味暖かい。
その辺かなあ。僕がこういうシーンにどうしても惹きつけられてしまうのは。
話すチカラをつくる本―この一冊で想いが通じる!
山田 ズーニー (著)