次期大統領は、名演説師のオバマに決まりましたね。北部の都会リベラル派が大統領になったのは、ケネディ以来の50年ぶりだそうで。
日本から見てると順当そうな結果ですが、僕の周囲の米国人の間では「どうせ黒人は最後は選ばれないさ。悲しいね」という悲観論が強かったようです。
昨日1日は、彼ら彼女らは、半分涙目状態で、「まだよ! ちゃんと決まるまでは安心できない!」とか、「アメリカも変われるんだって、ようやく希望が見えてきた!」とか、なんかすごいことになってました。
また、たまたまニューヨークに行ってる友人によると、かの土地は今、街中が喜びに沸いているそうです。政治がこれだけドラマチックなのは、日本にいるとなんだかうらやましいですね。
ところで。
オバマのメッセージは「希望」と「変化」。
それで思い出したのですが、1年くらい前から、リベラル寄りの米国人の友だちほぼ全員から、会うたびに「絶対読め」と薦められてきた本があります。
全米でなんと530万部も売れた、化け物本だそうです。このたび日本語訳が出たので、さっそく読んでみました。
この本です↓
ニュー・アース
エックハルト・トール (著), 吉田 利子 (翻訳)
感想は……
このブ厚く哲学的な本が530万部!? アメリカってすげーな、というのはちょっと置いといて、
説明するとなんだか違った感じになっちゃうので気が引けますが……「悟り」についての本で、だから究極的には、禅や仏教、ヨガやインド哲学の書籍と同じことが書いてありますね。
しかし、著者のエックハルト・トールは、ありとあらゆる思想や宗教的なものから距離を置き、ニュートラルで中立な状態を保ち、そしてヨガや禅の専門用語を極力使わず、自分自身の言葉で、「悟り」の境地について、懇切丁寧に説明しています。
懇切丁寧なので回りくどいところもありますが、通常は宗教的な言葉でなんとなくお茶を濁されてしまう細部について、ドイツ人ならではの厳密さで、徹底的に解説しようとしているので、意味はとてもわかりやすい、説得力がある本になっています(あと、難解だと感じた人は、彼の前作を読むといいです。とても易しくQ&A形式で書かれています)。
いわゆる新興宗教系とか、アメリカだとニューエイジ系とか、日本だとスピリチュアル系とは一線を画していて、誠実さがにじみ出ているところも好感が持てます。
とても良い本でした。一読しておくと、世界や自分、人生についてのものの見方をよりよく出来るかもしれません。
そして……この本の特徴的なところは、彼が「現代は、悟りを開く人が急激に増えつつある」と言っている点です。
彼は言います。「悟り」は今や昔みたいな大変な事業ではなくなりました、そして日常生活を送りながら悟りを開く人が増え、みんなの心が変わりつつある。そしてそれが「新しい地(ニュー・アース)」を作るでしょう、と。
彼は、その「証拠」については、一切言及していません。
ただ、この本自体、ブ厚く哲学的であるにも関わらず「知的なみのもんた」ことオプラ・ウィンフリーが感銘を受け、自身のサイトで読書会まで開いた結果、530万部という売上を記録しました。
彼の前作「さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる」も、それまではまったく無名だったにも関わらず、クチコミがクチコミを呼び、全米で200万部の大ベストセラーとなっています。
そして、今回のオバマ当選。
別に無理やり関連付けるつもりはないのですが、なんとなくですが、米国では多くの人が、これからの世界を「今までの延長線じゃない、新しい価値観をもった世界にしたい」と思っているのかもしれません。
経済もズタボロで再編が必須ですしね。