先日、部屋を掃除していて、もうずいぶんと前の暗黒の思い出を発見してしまったのです。
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あれは大学生くらいの夏。クソ暑い田舎道を歩いていたときのこと。
喉が渇いて渇いて死にそうで、一刻も早く冷たい飲み物が飲みたかったのですが、なかなか自販機に巡りあえません。
最初に渇きを覚えてから、もう大分経ちます。ちょっと頭が朦朧とするくらいヤバくなったそのとき、ようやく1つの自販機を見つけることできました。
キンキンに冷えたジュースが飲みたい! 喜び勇んで小銭を入れてたら、ガチャンとこれが出てきたんです。
布袋缶。
知ってますか布袋缶? 当時サントリーか何かのプロモーションで、自販機で飲み物を買うと、ときどき飲み物の代わりに、この缶が出てきたんです。
缶には、なんとも表現しがたいスーツを着た布袋が、こっちを見て変なポーズを取っています。
ちなみに裏はこんな感じ。
やはり変なポーズをとっています。
中には布袋のCDが同封されています。ええ、液体など一滴も入っていません。
「ほんとありえない」
いったいどんな因果律が僕と布袋をここで出会わせたのでしょう? ここまで嬉しくないサプライズは生まれてはじめてです。
缶にプリントされた布袋にいくら訴えかけても、彼は僕の喉の渇きを理解してくれそうにはありません。大量のセミがけたましく鳴く中、田舎道で僕は、布袋缶を握り締めて一人、力なく立ち尽くしていました。
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もし僕が布袋が好きだったら結構ラッキーだと思ったのでしょうが、あの日以来、以前に増して彼を僕の人生から遠ざけるようになりましたね……
でも、もうずいぶんと経つのに未だにこれを捨ててないということは、本当は僕は布袋のことが……確かに、彼がカソリック系小学校の小学生だった頃、教師に「長髪はやめろ」と言われて「イエス様はロン毛だ」と言い返したというエピソードは好きですが……
えっと、布袋缶欲しい人は連絡ください。あげます。
アルジャーノンに花束を
ダニエル キイス (著), Daniel Keyes (原著), 小尾 芙佐 (翻訳)