昨夜、地下鉄で、僕の隣に、疲れきったサラリーマン2人組がいました。
顔もテカつき、眉間にしわを寄せ、ネクタイをゆるめ、手すりにもたれかかるようにしています。
一刻も早く家に帰って倒れたいのでしょうが、もう今しばらくは電車に乗って社会人らしくしていないといけません。
しばらくして、Aがボソリとつぶやきました。
A:「そういえばCが今日おらんかったな。あいつどこ行ったん?」
もう1人は、いかにも面倒くさそうに答えます。
B:「四万十川や」
その答えが全く予想していないものだったのでしょうか、Aは急に目が覚めたように元気になり、びっくりして聞き返しました。
A:「しまんとがわ!? なんでや」
するとBは、また面倒くさそうに手を振って、こう返したのです。
B:「いや、島根や。間違ったわ」
その言い間違えはレアすぎるだろう、と、僕はこっそりと心の中で突っ込まざるを得ませんでした。
金の言いまつがい (ほぼ日ブックス)
ほぼ日刊イトイ新聞 (著), 祖父江 慎 (著), しりあがり 寿 (著)