デザインというのは引き算の美学なのだな、と、つくづく感じます。
先日、とあるイラストレーターのおうちに遊びに行ったときのこと。
アトリエには、仕事の関係か、いろんな種類のこけしが、ところ狭しと並んでいました。
大きいの、小さいの、現代的なの、古風なの、ビンテージもの……などなど、バリエーション豊か。しかもどれも、シンプルかつ温かみがあって、手入れもしやすく、良いデザインです。
ロシアのマトリョーシカも、こけしのある種のバージョンが海を渡って発展したのだとか。
僕はこけしたちを眺めながら、
「いやー、どれも可愛いッスねー」
とイラストレーターに話しかけました。
すると……そのイラストレーターは、
「でも、これはナシだと思います」
といいながら、引き出しから1つのこけしを取り出したのです。