サントリーの広報ブログの、ハイボール普及への取り組みがWebクリエーション・アウォードを受賞したそうで、おめでとうございます!
ちょうど同日、TIIDA BLOGも5周年を迎え、こちらも大変おめでたいので、ネットマーケティングについて思うことを、非常にはしょった形で、備忘録的に書いておこうと思います。
興味ある方のみ、以下どうぞ。
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別に法律に詳しいわけではないですが、「法人」というのは、メタファーとしては「人」なのだと思います。DNAじゃなくて法律というデータで構成された人間。
そしてもちろん、法人がプロモやマーケ、PR、ブランディングを行う対象である消費者も「人」です。
つまり、プロモ、PR、マーケ、ブランディングというのは、人と人とが、どのように信頼され、どのように何をやりとりするのかという、つきつめれば「人間関係」の構築、ということなのだと思います。
この基本を忘れて、「流行りの○○を使って自社製品を知らしめられないかな」とか「うまいことやっていい評判を勝ち得ないかな」とばかりやっていても、特にネット時代のマーケティングは上手くいかないのだと思います。
なぜなら、ネットでのマーケティングというのは、マスメディアではなくソーシャルメディアに対してアプローチするものだからです。「ソーシャル」メディアですから、社会に対してアプローチしているのです。
学校のクラスにたとえると判りやすいかも。何とかして人気者になろうと策を弄している人や、気取っていいとこばかりを見せようとしている人は、結局はあまりクラスでたくさんの人と友だちになれないですよね? クラスにいる1人1人と知り合おうという気持ちに欠けているからです。
サントリーと日産の例は、会社が「人」として、ネットの向こうにいる「人」と真摯に向き合った例だと、僕には見えます。
サントリーの広報ブログの方たちが、半年くらい、全く関係ないのに、ありとあらゆるブロガーイベントに顔を出していたときのことを、よく覚えています。
最初はよくわからなくて、そのうち「いつもいるあの人たちだれ?」みたいなことになって、少しずつみんなと話すようになり、そして彼女たちが誘って何人かがハイボールを飲んだりするようになり、そして「美味しいじゃない!」ということになって、その声が一定量以上になった段階で自社でイベントを開き……という流れだったように記憶しています。
TIIDA BLOGの場合は、blogs.comにも書いたけど、ビジネスブログというものがまだほとんど無かった段階で、ブログというツールをどのように使うと最も効果的なのかということを、極めて真摯的に試行錯誤し続けた5年間だったように感じます。
こういう例は、多いようで実は少ないのではないかと。たいていは流行りのアレを使って、安い値段で格好いいことできないか云々というレベルでしかネットが活用されていないような。今だと、
- Tumblr
- 美女やイケメンの写真とか動画とか
- ブロガーリレーション
- バイラルビデオ
- スマッシュコンテンツ(面白サービス的な)
辺りですかね。これらを使うこと自体は全く問題ないのですが、ネットの向こうにいる1人1人の人に対して信頼のおける関係を築こうという真摯な態度ナシにこのようなことをしても、ある程度以上の、少なくともこのたびのサントリーや日産のような効果は得られないのではないかと。
似たようなことは2006年にマーケティング2.0の中でも書いた記憶がありますが、結局は買い手側も、ネットという武器を持つことによって、単なる消費者ではなく、多面的に評価し、情報をバラ巻き、意見群を生成するという意味で、「生産者」なんですよね。「俺ら売り手、お前ら買い手」という一方通行ではなく、双方向的。だから、ネットを最大限活用するには、この意識を持って、何かをco-createしていく感じが大切なんだと思います。
考えてみるとマーケに限らずとも、ネットのCGM的なものやコミュニテイ的なものって全てそうですよね。
願わくば、日産とサントリーという2社の例がもっと広がって、たくさんの会社がこの事例を研究して模倣してくれたらいいなーと、そう思う次第であります。
マーケティング2.0
磯島 大 (著), 廣中 龍蔵 (著), 関 信浩 (著), 神原 弥奈子 (著), 棚橋 弘季 (著), 清田 一郎 (著), 北村 勝利 (著), 飯塚 正治 (著), いしたに まさき (著), 渡辺 聡 (監修)