先日、電車で、隣の席に、超お洒落な黒人が座ってたんです。
アウトキャスト系でもスーツ系でもなく、普通の服なんだけど趣味が良い……King Brittっぼい系統。例えていうとこんな感じ。
で、このお洒落さんはニューヨーク辺りにいれば、さぞかし絵になって大変によろしいのに、なんでわざわざ極東の街まで来てるんだろうと不思議だったのですが、
ふと手元を見ると、手作りの単語カードを持ってたんですよね。
表に日本語、裏に英語が書いてある。
どうも、日本語の勉強のために来日していたようです。
なんて真面目で熱心なお洒落さんなのだろう、と、感心したのですが、
ただ、そのとき単語カードに書いてあった日本語が……
「さんさんななびょうし」
あーそれ覚えなくていいよ全然使わないから。
続いて出てきた単語は……
「ぬすむ」
「なぐる」
「つかまる」
何しに日本に来たの?!
もうね、カードをめくるたびに、次から次へと覚えなくてもいい日本語が出てくるんです。
僕はずっと、ドキドキしながら彼の単語カードを見つめていました。
そんな僕へのメッセージだったのでしょうか? 僕が電車を降りるとき、彼が出したカードは……
「気がつく」
……もしかしたら、彼はエスパーだったのかもしれません……
声に出して笑える日本語
立川 談四楼 (著)