どう説明したらいいのかな……先日、7階でエレベーターに乗って、1階まで降りようとしたときの話。
エレベーターに乗っていたのは、僕1人でした。それまでは、別に普段と変わらない、普通の日でした。
その日は外で打ち合わせの後、直帰の予定だったので、何となく娘を思い出し、帰って抱き上げてチュッてするところを想像していた、んだと思うんですよね。今思うと、たぶん。
で、ちょうどチュッていう顔をしてたときのことですよ。
全く予想外なことに、1階につく前、4階で、急にエレベーターのドアが開いたんです。
完璧に油断していました。
目の前には、ウィリアム・デフォーみたいな顔の、渋いおじさんが、トレンチコートを着て立っています。
一方で僕は、まさにそのデフォーに向かって、チュッの顔を突き出していました。
その後1階まで、エレベーターの中は僕とデフォーの2人きりでした。
……えっと……
みなさんも、エレベーターなんてしょっちゅう乗るでしょうから、
「4階から1階までなんてすぐに着く」
と思ってると思うんですけど……
とんでもない! 無限なんじゃないかと思うくらい、長い時間かかりましたよ。
ほんと、いたたまれないとはまさにこのことです。もしそばに次元の裂け目とかが開いてたら、恐らく躊躇なく身体を押し込んでいたと思いますね……
死ぬかと思った
林 雄司