5月18日(金)。
朝7時。いつもは朝が弱く、起きた後でしばらくウダウダしている僕が、この日はシャッキリと目が覚めて、勢い良く起き上がった。
今日は金環日食だ。日本でこれが起きるのは25年ぶりだそうで、しかも東京で見れるのは次いつになるか。
こんなビッグイベントを見逃す手はない。
僕は喜び勇んで、隣の公園へと駆け出した。
公園は人だかりになっているだろう、と思ったのだが、行ってみるとガラガラだった。
というか、ほぼゼロ人。僕の他にいるのは、子犬を散歩させているおばさんのみ。しかもおばさんも日食を楽しみにしている様子はない。全然上を見ようとしない。むしろどちらかというと下を向いている。
世間的にはそんなに注目を浴びてるイベントではないのかな。
不思議に思ったが、まあそういうこともあるかな、科学ネタだしな、僕の大好きなNewtonだって何百万部も売れてる雑誌じゃないしな。と、適当に納得した。
空には縮れた雲が散乱していて、太陽は雲に隠れたり現れたりしていた。
金環日食まであと3分。果たして無事に見えてくれるかどうか。
iPhoneアプリ「金環食2012」で時刻を正確に確認しつつ、iPhoneを太陽に向ける。
3、2、1……
今だ!
ふと空を見上げると、ちょうど太陽は雲に隠れていた。
全く変化がなかった。特に暗くもならないし、3分前となんの違いもない。
あまりにも普通。
超普通。超普通な時間が淡々と流れていった。
こんなんだったらフィルターいらないんじゃないか。そう思って僕は、iPhoneからフィルターを外してガンガン空を撮影しまくった。
向こうでは、おばさんと子犬が、不思議そうに僕を見ていた。
何も変わらない金環日食タイムが終わって、僕はiPhoneを確認し、一番良いと思われる写真をブログにアップした。
それがこの記事。
----------
「今日は金環日食じゃない!」と気づいたのは、ブログに貼ったZenbackで読者の反応を読んだとき。
「いちるさん、日食は21日(月)ですよ。」
「ホント、ダイジョブか」
「すげー。」
「まさかのフライング?」
「えっ?えっ?」
「小鳥ピヨピヨさんも金環日食を今日と勘違いしていたらしい。ちょっとほっこりした」
辺りまでコメントがついたところで、僕は恥ずかしさのあまり、ブログの記事をそっと非公開にした。
で、この記事を書くために、さっき再公開しました。
あー恥ずかしい。ほんと黒歴史だわ。そりゃおばさんたちが不思議そうにこちらを見ていたはずだよ。だってただの曇り空なんだもん。
そんなものを嬉々として撮影しまくっているパジャマ姿のおっさんなんて、不審がって当然だろう。
と、いうわけで、金環日食は明日21日(月)でございます。
本当に明日かどう疑っている自分がいますが……でもまあ楽しみに待ってます。