もっと閉鎖的な感じを覚悟していたんですよね。「ノリが分からないやつお断り」的な。
でも、全然そんなことありませんでした。超楽しめました。
「ニコニコ超会議2」「ニコニコ超パーティー II」は、ニコニコ動画(擁するドワンゴ)が主催する巨大イベント。
「ニコニコ動画のすべて(だいたい)を地上に再現する」のスローガンのもと、政治から声優萌えまでありとあらゆるものが盛り込まれています。
ものすごくデカい文化祭みたいな感じです。
当日の詳しい状況は、ギズモードやITmediaなどの専用メディアの総力レポートをご覧ください。
僕は、僕の体験を書きます。
僕は2日間のうちの1日目の、お昼過ぎくらいから行きました。
入ると、いきなり入り口近くに、僕にとって最大の目玉である「キマイラを執筆する夢枕獏先生」がいらっしゃいました。
僕、今日はこれを見に来たのです。
夢枕獏先生が、周囲ではカラオケ大会が行われていたりする超うるさい場所で、集中して「キマイラ」の続編を書いておられます。
ああ、キマイラ……僕のはじめてはまった連載小説であり、青春であり、僕も小説を書くようになったきっかけの作品。
「生涯小説」と呼ばれ、今も未完で、続きを本当に一日千秋の思いで待ち続けている作品。
そのキマイラ、を夢枕獏先生が、目の前で書いています。
先生自らが見せ物になって。原稿用紙にペンで、手書きで。
「働く親父の無骨な背中」を感じました。「物書きをするとかどういうことなのか」が心の中に染み入ってくるようでした。教えを受けたような気がしました。
僕は20分くらい、たたずんでいました。
さて。
「もう見たいものは見たから帰ろうかな」と一瞬思いましたがw
企業ブース群をくぐり抜け、学会やらのど自慢をやっているエリアを巡って、体験コーナーへ向かう、その流れに参加します。
と、思ったら、いきなり人だかりが、もののけ姫の猪神様のようにうごめいて前進してきます。
なんだと思ってジャンプして中をのぞくと、ニコニコ動画で人気のの歪みねぇビリー・ヘリントン兄貴がいらっしゃいました。
ニコニコ超会議では、このように、会場のあちこちで突発的なイベントが起こっています。
前に進むと、政治ブース。
そう、各政党がブースを出しているのです。
印象的だったのは、共産党のブースが意外に人気だった(結構参加者参加型だったのかな)のと、民主党のブースが本気で誰もいなくて、政治家が尾崎豊の「I LOVE YOU」をピアノ弾き語りをしていたことです。
自民党の人気は不動安定って感じで。カレー好きの石破幹事長の得意料理という「石破カレー」もアッという間に売り切れいていました。
僕が通ったときにたまたまそうだっただけかもしれませんが、栄枯盛衰ということなのかもしれません。
さて、コスプレエリアをくぐり抜け、
会場その2の入り口には、ドン!とどでかく10式戦車が飾ってあります。
すごい迫力。僕は無意識のうちに、「こいつと戦うならどうすればよいだろう」ということを考えていました。
ダメだ。どうやっても勝てない……
自衛隊のみなさん、勧誘にとても熱心でした。
僕は見なかったのですが、夕方頃、SP軍団に囲まれた安倍首相もお目見えしたとか。首相こっち側にすり寄り過ぎじゃないですかw?
次に目にしたのは、「作ってみた」のブースでした。
特にからくり部屋さんによる、巨大なレゴのピタゴラスイッチみたいなのはすごかったなあ。
写真だと伝わりづらいですが、レゴブロックが工場のように整然と動きボールを運んでいく様には、なにやら麻薬のように見とれてしまう作用がありました。
だだっ広い会場の一角を占めて、異常に盛り上がっている場所があるなーと思ったら、そこは「のど自慢」ステージ。
事前にネットで応募した人が、ステージに立ち、熱唱します。
歌い手が熱唱し、ガンガン客をあおり、客もガンガンあおられて、拳を天高くつきあげてくる。
ステージにダンサーたちがあがりこみ、みんなで狂騒状態で飛び上がる。
すげえ。
これがユーザー参加型コンテンツの破壊力。「主役は自分たち」の力。
なにやらそのエネルギーに、感動してしまいました。
そういえば漫画家によるライブドローイング会場では、トークが面白すぎる漫画家、久保ミツロウ先生が飛び入りでしゃべっていました。
先生、最近ラジオに出演されているそうで、その感想をしゃべっていました。「ラジオはねえ、締め切りないし、2時間なら2時間だけ頑張ればいいって時間区切られてるでしょ? だからマンガ書くより楽で楽しい」みたいなことをおっしゃっていました。
櫓みたいなDJブースも盛り上がっていましたね。
みんなが櫓に向かって手を突き上げていました.
有名なPとか生主とかのDJプレイなのかな? クラブっぽくは全然ありませんでした。踊るって感じじゃない。
踊るって感じなのはこっち。「踊ってみた」のエリア。
みんながステージの準備をしていたり、全員でヒップホップ風の振り付けを踊ったりして、大変楽しそうでした。
ストリートダンスの、切ったはったのバトルやオリジナリティの追求みたいな緊張感とは、無縁のダンスでした。
そこにあるのは「楽しもう」という感覚。下手でいい。ちょっと頑張って動きを憶えて、音楽に合わせて動いてみたら、みんなから暖かい拍手をもらえて楽しかったよ、というノリ。
だから「とても真似できねぇっ!」と思わせる必要ないし、思わせたらむしろ失敗。「楽しそう! あたしもやってみよ!」と思わせる。それが「踊ってみた」なのかなと思いました。
ほのぼのと暖かい気持ちになりました。
一方こちらは、ダンスとは真逆だけど、気軽さという意味では同じの「ニコニコ学会」。
僕はこれの「むしむし生放送〜昆虫大学サテライト」を見ました。
いや、虫すごかった!
好蟻性生物もすごかったし、クマムシもすごかったし、バッタもすごかった。
何より登壇者が、本当に虫が好きそうなのがよかった。声に熱がこもっていたし、何度か感極まって喉がつかえたりしていた。
特に前野ウルド浩太郎博士のキャラクターは、なんというか「アフリカの大地で生き残っていくにはこのくらい無茶できないといけないのか!」的な衝撃を感じました。
あと僕は、ロデオに乗って4秒で振り落とされたり、
マリオの土管をくぐったり、
津田大介×ホリエモンとハックルさん、2つのトークイベントを両目で同時に観察したり、していました。
そして夜はニコニコ超パーティ!
ここは写真は撮れない(コンサートだから当たり前か)のですが、とにかく本当にすごい盛り上がりでした。
ニコニコ動画の熱気の本丸なんだと思います。下手だけど人気ある歌い手、超上手い歌い手やバンド、そして立ち上がってルミネライトを振りかざす満席の観衆。
ここではステージに立っている人も、客席にいる人も、同列です。与えるアーティストと受け取るファンという上下関係じゃない。もっとフラットで、もっと手作りで、もっと距離が近い。
プロ中のプロが入っても、そこでは「オレたちのネタの一部」になります。
小林幸子が出てきて「ねぇ、わたしのこと、『ラスボス』って言って♪」といったときの、嬉しそうだったこと! あの瞬間の彼女は光り輝く芸能人じゃなくて、受け入れられた、という喜びにひたっているだけのように見えました。
いや楽しかった。個人的にはDEATH姫&大凶作がすっかり気に入ってしまいました。
パーティの後は、夜のニコニコ学会に顔を出しました。
いろいろここには書きづらいネタで大盛り上がりの、カオス空間でした。
以下の写真はゾンビガールズと関係者の記念写真パチリ。
簡易レポは以上です。
いやー楽しかった!
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入る前は緊張したんですけどね。冒頭にも書いたけど、年齢的にも趣味的にも全然違うから、周囲の冷たい視線が辛いんじゃないか、と。
でも、結果としては全然そんなことはなくて、リラックスして楽しめました。
会場内にも、一人で来ている人はたくさんいました。
でも彼らは、孤独ではなかった。居心地悪そうにモジモジもしていませんでした。生き生きと、自分のペースで楽しんでいるように見えました。
運営側のドワンゴが「できるだけ多様な人を受け入れる」ために、イベントが閉鎖的にならないよう工夫したのでしょうね。おかげでマニアックで独特で意味不明なのに、閉じておらず開かれている、そんな不思議なノリのイベントになっていたと思います。
それと、会場を歩きながら、ああ、僕も学生時代のときにニコニコ動画があればなあ、と羨ましく感じました。
僕は学生時代、どのグループの輪にも入ることができずに、ぼっちだったことがあります。いったいどうしたら友だちができて関係が続くのか、みんなどうやってるのか、ほんと謎でした。給食とか遠足とか修学旅行とか文化祭とか運動会とか、キツかったなあ。
もちろんニコニコ動画が全てではないし、リスクや弊害があることも承知しています。
けれど、もしあの頃、ニコニコ動画やニコ生があったら、PixivやはてなやアメブロやLINEがあったら、イベントを開催する仕組みが充実していたら。
これだけ多様なニッチへのアクセスが容易になっていて、これだけコミュニケーションの方法が多様化されていたら。
僕の青春はずいぶんと違ったものになっていたでしょう。
いろんな動画を見て、勇気を出してコメントしてみたり、コミュニティに入ってみたりしたかも。自分でも勉強して、喋ってみたり、踊ってみたり、歌ってみたり、曲なりPVなりイラストなり、何か作ってみたかも。
クラスではぼっちでも、ネットの向こうにはたくさん友だちができていたかも。
そして、超会議に行って、そりゃもう大いに楽しんだかもなあ。
そんなことを、帰り際に夢想していたら……
なんと、帰宅途中の夢枕獏先生と、偶然お会いしました。
びっくりしました。僕は自分が20年来のファンであることを告げて、握手をしました。小さくて柔らかい手でした。
僕が「キマイラ楽しみにしてます!」と言うと、今年62歳になる先生は「やってやりますよ!」と言って、拳をつきあげてくれました。
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さて。
前の方でもちょっと書きましたが、学生の頃僕は、ゲーム読書音楽鑑賞の合間に、ずっと小説を書いていました。
そのうちのひとつ、僕がリアル中二つまり14歳の頃に書いていた小説を、早ければGWのド真ん中、今週中に公開します。
本物の中二病全開の小説、もしよかったら読んでみてくださいませ。