以前、実家に帰った時、ふと物置から、3.5インチフロッピーディスクの束を見つけまして。
それで、思い出したのです。
中学生から高校生くらいにかけて、ずっと小説を書いていたことを。
僕の青春には、あまり友だちとか部活とかはなかったので、本を読んだりゲームをしたり音楽を聴いたりしながら、合間に延々と、今でいうラノベみたいなもの(当時は超伝奇小説とか一部はジュブナイルとか言われてた)を書いていました。
今でもクッキリと憶えています。
液晶じゃなくブラウン管なので異常に縦長で激重だったワープロ機をベッドまで運び、うつぶせに寝そべって、頭をずっと持ち上げ、「首痛ぇー首痛ぇー」と言いながら書きものをしていたことを。
ダーッと一気に書き下ろしたかと思えば、急に一生懸命ルビを振りだしたり、以前書いたものを細かく手直ししたりしていたことを。
静かな時の中、一人で盛り上がっていたことを。
でも、いったいどんなこと書いたっけ?
何をしでかしちゃったんだっけ?
書いていたことは憶えているのですが、何を書いたのかになると記憶がぼんやりしてきます。
気になりはじめると、どうにも止まらなくなりまして。
なので、これを機会に、フロッピーからデータを吸い出すことにしました。
壊れないよう何重にもフロッピーを包み、向かったのは秋葉原のオークインメディアサービス。ここでは1万円くらいで、ワープロ機のデータをパソコンで読めるように変換してくれます。
郵送でも受け付けているのですが、ほら、一刻も早く読みたいじゃないですか。
だから、直接お店に乗り込んだんです。
フロッピーを預けると「2時間後に取りにきてください」と言われました。
言われた通りにその辺をブラブラして時間を潰し、2時間後に戻ってみると、「はい、できました」と、DVDを渡されました。
その場でデータを確認してみます……
……ゴフッ(吐血)!!!
何この黒歴史の山!?
しかも、確かにどれも見覚えがあります。
学校の宿題の作文、ペンパル相手との文通、ラブレター、社会に対して思ったこと(今でいうブログw?)、日記。
そして、大量の、小説、小説、小説。
うわーヤバいヤバいヤバいヤバい。
完全におかしなテンションの遥か遠くで、オークインメディアサービスの人の、「あの……フロッピーに一部カビが生えていて、普通の方法ではデータを取り出せませんでした。追加料金をいただければ別の方法を試してみますが……」という声が聞こえてきます。
え、あ、いや、いいですいいです! とりあえずこのデータを全部読んで、まだお腹いっぱいにならなかったらお願いします!
僕は、精神にダメージを受けたことを悟られないようにしながら、店を後にしました。
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それが、大体半年くらい前のこと。
家に帰って気を落ち着けながら改めてデータを全部見直した(でも何度となく動悸を抑えなくてはならなかった)僕は、さて、これ、どうしたものかなと頭を悩ませていました。
いや別に放っておけばいいのですが、何かやるべきことがあるような気がしていました。
そんな折、飲み会の席で、ふと、この小説の存在を口にしてしまったんです。
すると出てくるのは「読みたい! 絶対! 絶対読みたい!」の大合唱。まゆみんやら閑歳さんやら竹内くんやら小太郎さんやらその他大勢。
家に戻り、DVDを前にして、僕は、14歳のころの自分に、語りかけました。
「お前の小説を読みたいって言ってくれてる人たちがいるけど、どうする?」
14歳の僕は、目を輝かせて、こう言いました。
「大人が読んでくれるの? 嬉しい!!!」
……というわけで、当時書いていた小説群のうちのひとつを、ここに謹んで公開させていただくことにいたしました。
いや恥ずかしいですよ。何度読み返しても顔から火が出ます。
しかしきっと、死蔵されてしまうのも、本当は本意ではなかったはずなのです。当時の僕は、人に読んで欲しかったんだけど、どうやったら人に小説が渡るのか、わからなかったんですよね。ネットもなかったし、フリーペーパーとか賞に応募みたいなのも調べきれなかったし。
公開する小説は、これです↓
我が名は魔性
清田いちる
……ええ、タイトルは「我が名は魔性」です。
間違いありません。
Amazonで、295円にて販売します。
電子書籍です。iPhoneやAnadoidスマホ、Kindle端末で読めます(つまりKindleダイレクトパブリッシングです)。
【iPhone、Androidスマホでの読み方】Kindleのアプリを使います。
普通に本を買うときと同じように、Amazonのサイトから本を買った後、Kindleアプリをダウンロードして、設定メニューから「同期」を選んでください。
あらすじはこんな感じ。
【あらすじ】イエス・キリストとその家族を抹殺するために、現代から過去に送り込まれた超人間兵器「魔性」。二千年前のエジプトで彼が見たものは……
リアル中2つまり14歳のころに書いた、完全なる中二病小説です。
手抜きナシで、以下の中二病的要素全部入りです。
● 超能力
● 天使と悪魔
● 無敵モード、俺TSUEEEEEE!!!
● SFっぽいギミック
● ポエム
● かめはめ波的なものを発射
● マンガチックなギャグ
● 潔癖な倫理観
内容については……小説としてどうか以前に、僕をブログなりツイッターなりで知っている人であれば、一瞬の気も抜けないツッコミどころ満載っぷりに悶絶→呼吸困難必至だと思うし、知らない人でもその中二病っぷりを大いに楽しめると思います。
ぜひ14歳の少年を見守るがごとく暖かい目でお読みいただきたくw
最後に、KDPについていろいろ教えてくれた@daichiさんや@sasakillさんをはじめとする方々、完全にどうかしてる表紙イラストを描いてくれた@381さん、そして、読みたいといってくれたみんな、ありがとうございました! みなさまの力がなければ、僕は序盤辺りで早々に心折れていたでしょう。
この一連のプロジェクトが、14歳のころの僕の供養になれば、幸いです。
良かったね良かったね! 20年以上の歳月を経て、今、表に出てきたよ!
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・『我が名は魔性』はiPhoneやAndroidスマホでも読めます
p.s.先に出た短編集「アボカドの弾丸」も宜しくお願いします。
アボカドの弾丸
清田いちる (著)