とうとう『あまちゃん』も残り1週間です。
僕は、あま本はほとんど全部制覇してると思うのですが、
この1週間を楽しむのに最適なテキストは、これじゃないかと思います。
あまちゃんメモリアルブック NHKウイークリーステラ臨時増刊
この本には、第1週目から、全ての週について、演出家(映画でいう監督)の人が解説を述べてくれています。
あまちゃんのインタビューって、出てくるのは、たいていはクドカンか大友さん、あるいは出演者の方々、まれにプロデューサーです。
演出家の方の話を聞ける機会って、ほとんどありませんでした。
でも、クドカンの脚本を読み込んで、映像をイメージして、セットを組んだり役者さんに指示したりして、最終的な画を落とし込むのは、監督(この場合は演出)の仕事です。
だから、彼らの視点は、「なるほど! こういう経緯であのシーンを撮っていたのか!」と、なるほど感がいっぱい。
読み応えたっぷり!
例えば、ユイちゃんが大人たちに「私の気持ちはどうでもいいんですか?」とキレるシーンは、こんな感じ。
周りをねじ伏せるような迫力と、怒りと悲しみが交錯する複雑で切ない表情。僕は、真っ暗闇に浮かぶユイのアップに、別のカメラで撮っていたさらなるアップを重ねました。そして「撮れた!」と思いました。このシーンで一番撮らなくてはいけない表情が撮れたと。
花巻さんがフレディ・マーキュリーになるシーンは、こんな感じ。
(花巻役の)伊勢志摩さんの気合いの入り方は、半端なかったです。僕が「できることなら、もうすこし胸毛を……」と言うと、ちゅうちょなく増毛してくださいました(笑)。 『海女〜ソニック』のシーンで、自分たちの出番が来るのを待っているアキとユイのところに花巻さんというか、フレディがやって来て、「アキ、いいあんばいに温めどいたぞ!」と言う。そのときの芝居が、本当に2時間くらいステージをやって完全燃焼したような感じなんです。<中略>クランクアップしたあとにお会いしたとき、伊勢さんは「私はフレディ・マーキュリーをやるためにあまちゃんに出ていたのだと思います」とおっしゃっていました(笑)。
夏ばっぱが春子に謝るシーンは、こんな感じ。
このシーンでは今までやってない演出手法を1つだけ使いました。(お互いの顔を交互に見せる)切り返しです。普通、切り返しだけだと単調になり観ている方も(映像に)すぐに飽きてしまうのですが、この2人なら絶対に飽きないだろうなって。芝居に関しても、2人にお任せしました。僕としては、面と向かって、どうぞやってみてください、じっくり拝見させていただきます、というスタンスですね。それにしても、ずっとアップに耐えられる宮本さんと小泉さんはやはりすごい!
この本を最大限に楽しめるのは、この1週間だと思います。
この本で、監督の視点から、今までのあまちゃんを振り返り、そして毎朝の15分間をしみじみと味わう。
恐らく大きめの本屋では売っている(僕は赤坂駅前の本屋で買いました)し、Amazonでも中古が売っている(新書は売り切れ!?)ので、もし興味を持たれたら早めにお買い求めくださいませ。
ただしひとつ注意! この本には「最終週」の解説も載ってるので、そこは読まないように。
それでは、残り1週間、めいっぱい楽しみ魔性!