僕が14歳のときに書いた、完全なる中二病小説『我が名は魔性』を、iPhoneなどで読める電子書籍形式(Kindle)にして出版してから、もうすぐ1年が経とうとしています。
我が名は魔性 [Kindle版]
清田いちる (著)
【参考記事】
● 中2(14歳)のとき書いた小説『我が名は魔性』を公開します
● 【魔性記念】今日の「Kindleストアのヒット商品」で1位
● Kindleダイレクトパブリッシングで電子書籍を出版するときの注意点まとめ
● (検索で見つけた書評はこの記事の最後にリンク)
反響が大きく驚きました。色々と楽しい書評もいただけたし、KDPの作り方も把握したし、電子書籍の可能性の広さ(狭さ?)について深く考察することができたし、大変いい経験をさせていただきました。
14歳のころの僕の供養に、充分になったと感じています。
ところで、後日談として記事にしようとしていて、すっかり忘れていた話があります。
『我が名は魔性』を出した後、母がこう言ったのです。
「お母さんは安心したわ。
だってあなたは、せっかく青春まっ只中なのに、外に遊びにも行かず、彼女も友だちもいないみたいで、ずっと部屋にこもっているだけだったから、お母さん心配していたのよ。
でも、こんな長編小説を書いたりして、それなりに充実した時を過ごしていたのね」
んー、そうですね。
確かに僕は、幼稚園〜高校にいたる14年間、学校に馴染めませんでした(大学もたいして……超数少ない「友だちだと思っていた」奥田慎一郎くんの消息を今でもときどき探します)。長く続いた友達グループは1組だけ(しかも1年間だけ)、それ以外は、友だちというか、たまに会話に似たような言葉のやりとりはするけど、「こっちはアイツのことを友だちだと思っているけど、向こうはそれほどは思っていない」状態でした。向こうはあまりに僕がぼっちなので、可哀想になって、たまにおしゃべりしてくれたんじゃないかな。
クラス替えや学校が変わるたびに、同じサイクルが繰り返されていました。こんな感じ。
● 4月〜6月:今回こそ友だち作ろうと張り切る
● 7月:なんとなくクラスにグループみたいのができてるけど、自分はどこに属するというわけでもなく、あっちにちょっと顔を出したりこっちにちょっと顔を出したり
● 8月:一人で、あるいは家族と過ごす。親の実家(新潟の長岡)に行く。ひとりでプールに行く。ひとりで庭で日焼けする。ひとりで図書館に行く。ひとりでクラブに踊りに行く。など
● 9月:気がついたらすっかりグループ分けができている
● 10月〜3月:次のクラス替えを待つ
部活もバイトもまともにやっていなかったので、本当にずっと一人でいたなあ。あまりに寂しくなって、リア充な弟にくっついて、弟の友だちの別荘に泊まりに行かせていただいたこともありましたね(笑)。
クリスマスの思い出は以前書いたとおり。
そんな息子を見て、親は、心配していたのでしょう。
まったく青春を謳歌してなさそうな息子。「この子は大丈夫なのかしら?」と。
自分も親になったので、その気持がよーくわかります。
でも、僕の場合は、慣れたんですよね。
孤独は感じて寂しかったけど、あんまり辛くはなかった。そのことで悩んでいなかった。次のクラス替えで頑張ろう、くらいの気持ちだった。
むしろ忙しかったです。読みたい本も、聴きたい音楽も、見たいアニメも、やりたいゲームも、鍛えたい筋肉も、たくさんあった。
小説も、謎の情熱にとり憑かれて、大量に書いていました。そのうちの一つが『我が名は魔性』です。
どういう経緯か忘れたけど、たまにはTRPGやったり、バンドしたり、部活に入ったりもしてましたね。どれも長続きしませんでしたが(バンドは評判良かったんだけどな。僕のパートはボーカルでした)。
夏休みの間、オーストラリアに交換留学したこともありました。あのときは急にたくさん(オーストラリア人の)友だちができて、楽しかったなあ。
いわゆるオタクではなく(オタクだったらその輪に入って楽しくやれたかもしれない)、ひとりで過ごしていました。
確かに学校では、針のむしろの上に座っているようでした。特に休み時間。楽しく談笑しているクラスメイトを見て、ひとりでポツンとしている自分を恥ずかしく感じました。
でも、僕の場合は、それを我慢できました。
無視されたりたまにイジメみたいな目に遭いながらコソコソ隠れるように学校生活を送り、家に帰って、自室で好きなだけ好きなことをする。今こうやって言葉に書くだけで切ないですが、当時はそれほど辛くも感じていませんでした。
なんでだろう? 基本的に僕は面倒くさがりでマイペースなのでしょうね。だから友情を維持する努力が面倒くさかった。定期的に部活やバイトに行くのも面倒くさかった。「誰かに合わせる」より「自分の好きなことをやる」方が優先度が高かった。
それと、自分は人に好かれる、という、根拠のない謎の自信はありました。今はたまたま誰とも気が合わないけど、自分が人と仲良くできない性格的欠陥を持っているわけではない、という確信は、心の底にありましたね。
何故だろう? よくわかりません。自己嫌悪に陥るかどうかは、環境ではなく自分次第な部分が大きいのかもしれません。ここで自己嫌悪に陥っていたら、かなりキツかったかもしれない。
自信があったから、何度でもトライしたし、結果としては、今は仲良い友だちがたくさんいます(いるはずです。僕の勘違いでなければ怖)。
社会に出る前に親友を作っておくのがベストだと僕も思いますが、僕の場合は、社会にすっかり出きってしまってから、親友が何人もできました。
当時はネットもなかったので、同級生が何をやってるか知らなかったというのも、大丈夫だった理由のひとつかもしれません。リア充たちの楽しい夏休み写真とか毎日見せられてたら、自己嫌悪に陥っていたかも。
でも一方で、ネットのおかげで、学校に馴染めなくても、ソーシャルで気の合う仲間を見つけやすい。その点はうらやましいです。例えば学生時代、僕は「アイドルや邦楽に興味がなくて、ヒップホップやハウスやレゲエが好きだった」のですが、そんな人はクラスに一人もいませんでした。だから趣味友を見つけられませんでした。クラブで相当年上の大人と接するしかなかった。
蛇足ですが、Facebookでも、学生時代の人から友だち申請など、一度も来たことがありません。
Facebookって、そういう「ウン十年ぶりの再会!」みたいな出来事があるんですよね? 僕はないです。うらやましい……かな? いや、別に当時だってそんなに仲良くしてたわけじゃないからうらやましくはないか。
そんな感じで、特にオチはないのですが、我が名は魔性の後日譚、でした。
お母さまお父さまご安心ください。当時の僕は、それなりに楽しくやってましたよ。
【見つけた書評/紹介。みんなありがとう! 他にもあったら教えて下さい】
● Amazonのレビュー(全部で10件)
● 本物の中二病をお前に見せてやる・・・!! 「我が名は魔性」 レビュー:a Black Leaf
● 少年のみた夢は魂をあがなう魔性の一冊となった!「我が名は魔性」(清田いちる・著):Lifehacking.jp
● 「我が名は魔性」がすんごく面白かった件!:AmazonのKindle出版:入り江に棲む鰐
● リアル中二時代に書かれた小説「我が名は魔性」が、四半世紀をうっかり超えて今Kindleに。
● いちるさんの「我が名は魔性」を読んだ:matsudam blog
● 中二時代の黒歴史をアマゾンで売ってみた『我が名は魔性』:つんどく速報
● 【書評・感想】我が名は魔性:たつのをChangeLog
● 294円でこれだけ楽しめるのは「我が名は魔性」だけ。待望の問題作登場。:のまのしわざ
● @kotoripiyopiyo が中二病を晒す!14歳の時に書いた「我が名は魔性」をKindleで出版 #我が名は魔性:ネタフル
● 私が『我が名は魔性』を神速で購入した理由 #我が名は魔性:みたいもん
※ この記事は『我が名は魔性のちょっといい話』をかなり加筆修正したものです