ベルセルク作者の三浦健太郎さんによる1巻完結の短編『ギガントマキア』。
……もちろん最初の感想は「ベルセルク進めてくださいよ! 伏してお願い申し上げ奉る!」なのですが……でもこっちはこっちで、とても完成度が高くて面白かったのです!

帯の「脳細胞が老いる前に、やっておかねばならないことが在る!」が熱いですね。作者の並々ならぬ思いの強さが伝わってきます。
巨人vs人、巨人vs巨人なマンガなので、『進撃の巨人』と比較してしまいますね。でも、ギガントマキアにはそれ独特の魅力がありました。
世界観の設定も、個々のキャラも、かなり深く細かく作り込まれている。しかもその設定のほとんどは、軽くひとコマほのめかされるだけで、ほとんど説明されない。設定の説明よりも、ストーリーの分かりやすさと面白さが優先されている。ほのめかされるだけなんだけど、物語の裏側に、しっかりとした設定があることが感じられる。
これだけ重層的で複雑な世界が一巻で終わってしまうなんてもったいない……森を焼き払って一番美味しく焼け死んだ鹿を一頭だけ食べる、みたいな贅沢さだと思います。
バトルシーンだけ少し残念だったかな。最初から短編ということではじまったせいか、ひとコマひとコマの完成度がすごくて、しかしそれが、スピード感があるべきバトルシーンにブレーキをかけていた気がします。描き込み過ぎて、逆に見づらくなっているというか。そう考えると、エアマスターや進撃の巨人の荒い線は、バトルシーン向けなのかもしれません。いやよくわかりませんが。
とにかく、いやー面白かった。良質な作品を読むと気分がいいです。
何しろ一巻完結なので、読む方も気楽で良いですよね。オススメです。
ギガントマキア
三浦 建太郎 (著)