電気グルーヴの『メロン牧場』最新刊が出たというので、山のように積み上げあげられている積ん読の山をかき分け、マッハで購入、一気に読破しまして。
……面白かったです。途中で何度も腹筋が破けるんじゃないかと思うくらい笑った。
ピエール瀧からときどき漏れだす、変化球すぎる一言。
石野卓球の、全く年齢と釣り合ってない体験談。
最高でした。
そして、18年間、5巻に渡って読み続けていると、電気グルーヴと卓球と瀧の変化の「今の時点」も、しみじみと感じ入り、とてもほっこりしました。
最近は「瀧のターン」です。
数々の映画ドラマに出演し、助演男優賞を総ナメし、俳優としての道を着実に歩む瀧。そしてそれを「おーい待ってよ! こんな面白い話あるから聞けよ!」的に追いかける卓球。
少し前までは逆でした。
世界中のフェスでDJに呼ばれ、日本でも最大の屋内フェスを立ち上げ、どんどんビッグになっていく卓球。「ふんふん」とそれを聞く瀧。
この18年間の間に、電気グルーヴは大ヒットも出したし、バンドじゃなくてトークユニット化しかけたこともあるし、解散もしたし、復活もしたし、卓球がワールドクラスになったし、瀧が見事な性格俳優になっていきました。
でも、メロン牧場を読んでいて最高だなと感じるのは、人生の波はそんな風に2人の周囲を上がったり下がったりするけれど、2人は全く変わらない、というところなのです。
相変わらずバカバカしくて、くだらなくて、2人が仲良くて、キャッキャウフフしてます。
もはやアラフィフといってもいいくらいの歳だけど、まるで小学生の親友男子2人みたいです。
2人が会うと、まだ何者でもなかった頃の馬鹿時代に戻るのでしょうか?
それとも2人は、普段からこんなにも若々しい、というか、子どもみたいなのでしょうか? もうちょっと詳しく僕の感じている感覚を書くと、こんなにも卓球は小学生みたいで、瀧はそんな小学生と遊ぶのが大好きなおっかさんみたいなのでしょうか?
それはわかりません。でも、この5巻で、酸いも甘いも一周した気がしますし、一周した結果、何も変わらないよね、という安定感が出てきたような気がします。
今手元に本がないので記憶だけで書きますが、爆笑と爆笑の間に挟まる、卓球の瀧に向かって語る
「おい、おまえ、ミュージシャンだよな?」
「こいつ、俺がすげぇいい曲作ったのに、反応薄いんだよ!」
そして、
「いつでも電気グルーヴに帰ってこいよ」
などなどのセリフは、卓球が、「もっと遊ぼうぜ! これからも俺と遊ぼうぜ!」と呼びかけているように聞こえました。
もちろん瀧は、「はいはい」と受け止め、遊ぶのでしょう。50歳になっても。60歳になっても。70歳になっても。80歳になっても。90歳になっても。
もしかして100歳になっても。きんさん・ぎんさんみたいに2人で縁側に並んで馬鹿話をし続けているかもしれません。あ、でもそのころにはメロン牧場は30巻を超えてるのか……
まあいいや、そんな姿を思い浮かべて、爆笑につぐ爆笑、しかも読後感はほっこり、みたいな、最高の一冊でした。あー面白かった。