なるほどなあ、こんなやり方があったか、と感心しました。
去年も「『かぐや姫の物語』は僕の中の高畑勲(『火垂るの墓』)トラウマを消した 」という記事として書きましたが、『かぐや姫の物語』は最高な作品です。
長いのですが見飽きず、見終わった後も心の中に延々と後味が残る名作です。
僕は大好きだし、年を追うごとにますます評価が高まり、古典にまで昇華してほしいと思っています。
けど……話はみんな知ってるあの竹取物語だし、絵柄はイマドキじゃないし、ジブリといえど宮崎駿監督じゃない。
なので、どのくらい一般受けするのか、全く関係者ではない他人ながら、心配していました。
鈴木プロデューサーも、その辺を解消しようとしたのかもしれません。
「かぐや姫」に「太田光」を掛け合わせてくるその意外性と話題性で、「かぐや姫」に興味のない人も惹きつける。
毎回宮崎駿作品に変わった声優やテーマ曲を採用するあの方法に似ていますが、「かぐや姫」では、作品自体にはその種の仕掛けを全く組み込んでいません。
作品は作品としての純度を極限まで高めつつ、作品の外で、こういう愉快な仕掛けをほどこしていく。
しかも頑張って仕掛けた罠じゃなく、相手の力を活かしての巴投げ(by スプツニ子)みたいな、自然な流れを利用した作戦。少なくともそう見える作戦。
鈴木さんのマーケティングの天才が遺憾なく発揮された、見事なやり方!
『かぐや姫の物語』ファンとしては、とても嬉しかったです。思わずエスカレーターを3回くらい巡っちゃいました。
何に何を掛け合わせるか。その組み合わせ次第で、結果をどこまでも変化させることができる。
そんな基本的なことを、改めて心に刻んだ次第です。
ちなみに僕が一番好きな太田コピーは、
です。みなさんはどれですか?
あと、僕がキャッチコピーを考えるとしたら……映画を観て一年経った今は、『かぐや姫の物語』は、
「後悔についての物語」
かな。ちょっと大人向けすぎるかな?
同ポスターは明日7日まで都営大江戸線六本木駅のエスカレーターで見れるそうなので、興味ある方はぜひ行ってみてください。
かぐや姫の物語
高畑勲 (監督)
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