「お前、昼行性?」
「中高生? 何の話?」
「いやだから、昼行性かどうかって」
「ギャグ? 意味わかんないんだけど?」
「え?」
「え?」
「昼行性の意味?」
「いや、中高生くらいわかるよ」
「じゃあ何が意味わかんないの?」
「だから、俺に中高生かどうかって聞く意味よ」
「だってお前、早寝じゃん。残業してから飲みに行くとさ、すぐ飲みながら寝ちゃうじゃん」
「え? 酒?」
「え?」
「中高生が酒飲むのは犯罪でしょ」
「え?」
「え?」
「でも実際はほとんどの人が昼行性なわけだし」
「ほとんどが中高生?」
「だからオレも昼行性になりたいなって思うんだけど」
「中高生になりたい!?」
「お前は昼行性だから、どうやったらなれるか相談に乗って欲しいなって」
「え? 何の相談?」
「だから昼行性になる相談」
「中高生になる相談?」
「そう」
「え?」
「え?」
「相談もなにも……」
「例えば生活習慣とか」
「え?」
「特に、夜はどう過ごしてるのかなとか」
「宿題やるとか?」
「え?」
「え?」
「夜の営みとかは?」
「えっ!?」
「え?」
「中高生の!?」
「昼行性の場合の」
「知らないよ!!」
「そっか……ま、考えといてよ」
「何を?」
「昼行性になるコツを」
「中高生になるのにコツ?」
「そう。何かあると思うんだよね……」
「そりゃ、なろうと思えばなれないこともないとは思うけど……」
「だろ?」
「でも、どうして中高生になりたいのか、どういう中高生になりたいのかにもよるよな」
「そりゃ……昼行性の方が健康にいいって聞くしな」
「いや、お前が今から中高生になっても、健康の部分は得られないと思うけどな……」
「え? そういうもの?」
「そりゃそうだよ。おっさんが中高生になるなら、よほどの具体的な目的か必然性がないと」
「昼行性って、そんなに一筋縄ではいかないものなのか……」
「まあ、ちょっと調べとくよ。今の生活を崩さずに、中高生になれる方法があるかもしれない」
「いや、オレはまさに、今の生活を変えるために、昼行性になりたいんだけど?」
「え?」
なぜ生物時計は、あなたの生き方まで操っているのか?
ティル・レネベルク (著), 渡会圭子 (翻訳)