以前ShortNoteに書いたのの続き。最近周囲から「子どもにダンス教えませんか?」と言われることが増えてきました。
理由を聞いてみると、どうもこういうことらしいです。
● ダンスを習わせたいけど、どこに習いに行かせたらいいのかわからない
● 小学校でダンスが必修になったので、ちょっと慣れさせておきたい
● バレエなどに行かせていたんだけど、本格的すぎてこれからもついていけるか不安。もっと「楽しい」にフォーカスしたダンスをやらせてあげたい
確かに僕は以前ダンスを教えてたこともあるし、今でもやればできると思います。
で、どうせ教えるなら、EXILEみたいな感じよりも、もう少し今っぽいのを教えたいです。
今、ストリートダンスの世界は大きく変わりつつあります。大雑把に「New Style」と呼ばれていますが、以前だったらダサくてナシだったような動きが、試行錯誤を経て格好いいものに変わり、メインストリームとなりつつあります。
大胆にアニメーションやクランプが取り入れられ、でもフリースタイルというよりはもう少し個性が尖っている(単なるフリースタイルは、特別な才能に恵まれない限り、つまらないチャンポンダンスになりがちでして……)。オリジナリティとバランスが大事、みたいな。
有名なのはみんな大好き美形双子のLes TWINSですかね。他にも素晴らしいダンサーがたくさんいます。当ブログのダンスカテゴリでも、New Styleはしょっちゅう紹介しています。New Styleって、もはやNewでもなんでもなくて、今は「これがヒップホップ」といいますか。
でも、子供向けにはどうなんだろう?
以下、長くはないですがマニアックで偏見に満ちた意見が並びます。そういうのが嫌な方はどうぞ読まずにお閉じください。明日からはまたいつもの小鳥ピヨピヨに戻る予定です。
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たぶんお得感があるのは、小学校で習うダンスのカリキュラムを、いち早く教えちゃうことですよね。それはアリだと思います。
ただ、まだちょっとしか調べてないですが、調べた限りだと、創作ダンスの亜流というか、「ヒップホップっぽい動きをいくつかマスターして、それを元に自分たちで振り付けを作ってステージで踊ってみようね」的なものが多い気がします。
でもストリートダンスというのは、基本的にはステージで踊るものではありませんし、振付があるものでもありません。ちょっとしたルールというかコツだけを覚えておいて、あとは路上で、公園で、クラブで、フェスで、パーティで、自分を開放して、自由に踊るものです。日本には(風営法の縛りもあり)あまり「自由に踊る」カルチャーがないですが、世界的には一般的です(あの、いろんなことに厳しいシンガポールにすら、Zoukという世界有数のクラブがある)。ちと話がそれますが、もし日本を観光立国にしたいのなら、ナイトライフの充実、特にクラブカルチャーの充実は必須かと存じます。世界には音に合わせて自由に踊りたい人がたくさんいるのです。
で、どうせならそうやって「音に合わせて自由に踊る」のを教えてあげたいなと思います。ステージでもないところで一生懸命ステップ踏んでも、すぐ疲れちゃうし、ハタから見てても一生懸命すぎて少しダサいじゃないですか。そういう日本人を大量生産してもしょうがない。
それに、自由に踊っていいということ、自由に踊ることを知らないと、どうしても振り付けに走っていきますよね。アイドルの振りとか、「踊ってみた」とか、よさこいとか。それはそれで青春で素晴らしいと思うのですが、一方でアドリブで踊るのも大事だとも思うのです。まるで赤ちゃんが音に合わせてキャッキャと跳ねるように。そこには開放感もあるし、周囲の人との一体感もあるし、自分の身体と向き合う内向的な静けさもある。
幸か不幸か、僕はどちらかというと、ステップや技を覚えたりステージ映えする見せ方の研究より、リズムの取り方のパターンをひとつでも多く発見しマスターすることの方に重点を置いてきたタイプです。だから、ダンススクールをやるのではなく、もっとユルい感じで、「リズムの取り方やステップのパターンをいくつか教えてあげるから、あとは羞恥心に打ち勝って、自由に踊ってみよう! もっと上手になりたかったら、ちゃんとしたスクール紹介するよ!」というのでもいいかなあ、と思っています。
でも、子どもは飽きやすいですからね。あまりマニアックな教えになると、子どもが飽きちゃうんじゃないかと心配。やはりステップや振り付けも取り入れたり、EXILEっぽい動きも教えてあげたほうが楽しめるんじゃないかなとも思い……
みたいに悶々としていたところ、こんな動画を見つけました。
型にはまった動きをしつつ、でも「自由に楽しく踊る」ことがベースにあるから、合間合間に自由にアドリブする感覚を取り入れることもできている。2010年代っぽいダサカッコよさもある。素晴らしいんじゃないかなと思った次第です。
信じられますか? この長い文章が、この子どものダンス動画を紹介するためだけの前フリなんですよ?