今週末で終わっちゃうというので、昼休みに、慌てて話題の「空へ、海へ、彼方へ──旅するルイ・ヴィトン」展を見てきたのですが。
展覧会自体は素晴らしかったです。想像以上にたくさんの歴史的展示物がありました。
ヴィトンの美と機能の変遷が現物を見ながら理解できるようになっていて、ああやっぱりヴィトンっていいな、僕はあの柄がちょっと恥ずかしいので買わないけど、ヴィトンがとても誠実で、センスが良く、信念を持って作られていったんだなということが、とてもよくわかるイベントでした。
それを象徴していたのが、案内文に書いてあった、次の一文でしょうか。
どんな夢やご要望も、トランクに収納することが可能です。プロ中のプロなトランク屋! ですね。
ただ……
僕の近くに、上品なワンピースを着た若い女性が2人いまして。
その2人のうちの1人が、ひとつひとつの展示物にいちいち黄色い声をあげながら、iPhoneで撮影していたのですが、その様子がですね……
ほら、iPhoneのカメラって、撮ると、「パシャッ」っと音がなるじゃないですか?
それが、彼女の場合は、
女性:「わーすごいー。すてきー」
iPhone:パシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
女性:「あ、これもすごいー」
iPhone:パシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
なんで全部連写?
動いているものならわかりますよ? でも撮ってるのは、もう数ヶ月くらい一ミリも動いてないんじゃないかなっていう静物なんですよ。
しかも彼女、見たものをことごとく撮らないと気が収まらない性質らしく、しょっちゅう連写するんですよ。
そして、そのたびに僕は、「また連写!? ホワイ!?」と心の中で突っ込みを入れていて、そのせいで、イマイチ鑑賞に集中できなかったような気がします。いや、素晴らしい作品ばかりで大変堪能はしたのですが。
オフィスに帰るときも、ヴィトンのことよりも、むしろ彼女のことをずっと考える羽目に。
そうしたら、ある仮説に行き当たりました。
彼女はiPhoneを、人差し指と親指で、危うげにはさむように持っていました。あの状態で写真を撮ったら……その一瞬、撮影ボタンを押した指がiPhoneを支える柱になっちゃうから、すぐに指を離せないんじゃないか、と。
そう考えてみると、僕の周りにも、ときどきiPhoneでの撮影が連写になっちゃう女性がいます。
そういう人たちは、だいたい、iPhoneを不安定に持って、撮影ボタンを押すんですよね。
だから、いつも写真がブレブレになっています。ボタンを押した瞬間にiPhoneが揺れるから。
やはりiPhoneで写真を取るときは、縦に持って、手のひら全体でしっかりホールドした上で、親指でシャッターを切るか、あるいはどうしても横に持ちたいのであれば、以下のように、
四隅を両手でしっかりホールドしたほうが、指をすぐ離せて連写にならないので良いんじゃないでしょうか?
……と、ああ、彼女に言いたい。教えてあげたい。でもきっともう二度と会えないし、会っても、知らない人にそんなこと教えて欲しくないでしょうね……
最後に、展覧会の中で特に気に入ったものを、僕は連写せずに撮影してきたので、お楽しみください。
旅するルイ・ヴィトン展は6月19日(日)までです。Webから予約していった方がスムーズに中に入れます。
板垣退助用に作られたトランク! 上には「ITAGAKI」、サイドには「I.T.」の文字が!
超かわいい。『タージリン急行』という映画用に作られたそうですが、一般発売して欲しい。
このゴツさ! 格好いい!
着用済みの洋服を入れておく「スティーマー・バッグ」は、当時革命的発明だったそうです。
ベッドになるバッグ。ガジェットっぽい。
諸事情によりテトリス風な形にカスタマイズされたバッグ。
当時は、クライアントが「これは私のバッグ」と人目でわかるように、顧客に合わせて独自の模様を入れていたそうです。これは斜線。
ルイ・ヴィトンを支えた工具たち。無骨なものもあれば、美しく彫刻されたものもあります。
なんと飛行機までデザイン!
青ヴィトンって珍しくありません?
ピクニックセットですって。セレブだなあ。
ワニ一頭分くらい使ってそうなワニ革バッグ。
トランク型移動書斎。格好いい!!!
トランク型移動化粧台。細々とみっちり。
化粧瓶。いったいどんな匂いが……
こういう無骨で寡黙げなヴィトンは好き。