妖怪ウォッチの曲の以下の一節に、僕は大変に驚き、また、共感したことがあります。
「雲が踊れば 風が歌いだす♪」
普通「歌う→踊る」という順番なところを、逆にする。
ダンスが先で、音楽がはじまる。
何か深い意図や想いが? それとも単なるノリ? わかりませんが、とにかく、その言葉のセンスに脱帽しました。
また、僕自身長いことダンスをやっているせいか、感覚的に、この言葉がストンと腑に落ちる部分もありました。
どこかで「最初の音楽は、同時に、最初の踊りでもあった」という一節を読んだことがあります。ジャンプして地面を踏み鳴らす。この動きが、ミュージック事始めであり、また、ダンス事始めでもあった、と。
ダンスと音楽は、双子のようなものなのかもしれません。
そんなことを思い出しながら、このPRお手伝いに参加しました。
そう、この記事は、ソニーの「MOTION SONIC」というガジェット製作プロジェクトの、PR記事です。
MOTION SONICというのは、「カラダの動きを音に変える」「カラダの動きで音楽を操る」という体験を実現すべく、いろんな人とコラボレーションしているプロジェクトです。で、今回はダンス編。他にも空手とかラップとかと共同作業しています。
公式情報は以下。このプロジェクトの成長過程が記録されていて、面白いです。
しつこく言っておきます。PR!PR!PR!……なのですが、でも超ウルトラ級に俺得で、申し訳ないひとときでした。
何がどう俺得だったかというと、
1. s**t kingzのダンスのワークショップを受けられる
s**t kingzってご存知ですか(「**」の部分には「hi」が入る。4 letter wordsです)? カリフォルニアのダンスコンテスト『BODY ROCK』で2年連続優勝したダンスチームです。
ストリートダンスなのですが、ステージでのショーもかなり意識しています。
そのダンスは……もう格好いいのなんの!
オリジナルのアイディアに溢れ、スキルも高く、雰囲気やニュアンスもたっぷりと出ている。
超スタイリッシュです。僕には「ストリートダンスは個人でアドリブで踊るのが基本」という信念というか思い込みがあるので、作り込んだショーみたいなヤツや、みんなでピッタリ合わせる系のストリートダンスが苦手なのですが、彼らは別。ヤラれた。最高です。
以下の公式サイトに動画がまとまってますので、ぜひ見てみてください。
で、そのs**t kingzのダンスのワークショップが受けられるんです! ダンスを再び習いたいけど良い先生に出会えないと嘆いて3年。こんなチャンスは滅多にありません。
2. 謎のガジェットを試せる
ギズモードの編集長をしていたくらいですから、僕は謎のガジェットが好きです。それはまるでスパイ道具やライダーベルトのように、何の努力も不要で、僕の能力を拡張してくれるからです。
そしてソニーと言えば、さまざまな浮き沈みや路線変更があっても、いつも謎のガジェットを開発してくるメーカー。
ソニー製のガジェットの、しかも試作段階にあるヤツを試せるとあっては、腕が鳴らずにはいられません。
しかもその「MOTION SONIC」というガジェットは「ダンスによって音を作る」というではありませんか。あーこれ、絶対好きなヤツだ。
と、「ガジェット+ダンス+ブログ」で、ハイ僕それできます! 僕が適任です! と両手で挙手! みたいなイベントでございまして、いそいそと当日に都立大学のNOA(もうこれだけで、ダンス界隈の一部の方には、このプロジェクトのレベルとセンスがわかりますね?)におもむいたわけであります。
会場は、50人くらいのワークショップ参加者と、10人ほどの撮影部隊で埋まっていました。ワークショップ参加者は、小中学生、高校大学生、もう少し大人がそれぞれ1/3ずつくらいの構成。
まあストリートダンス界に半身を置いている自分としては、小中高校生たちに囲まれて、その中で一番下手、みたいな体験は普段から覚悟しているので、むしろ「意外に大人が多いな」という印象です。大人と言っても20代後半くらいですが。
この日のスケジュールは、以下のようでした。
1. s**t kingzのワークショップ
2. MOTION SONICの体験会
まず、ワークショップを受けました。
感想。
超早い!
超細かい!
超難しい!
身体より先に、頭が爆発しました。全然覚えられません。
周囲の子どもたちは、次々とこなしていくのに、僕はただただモタつくばかり。「あの子たちは元々s**t kingzの生徒に違いない。前からこの振り付けを習っていたんだ」と思い込み、かろうじて自我の崩壊を防ぎます。
振りを覚えるだけで、1時間半が経過してしまいました。最後に5組くらいに分かれてみんなの前で踊るときですら完璧には踊れず、悔しい思いをしました。
アッという間じゃった……20分くらいしか経っていないような気分です。
その後、s**t kingzさんによる、先ほどの振り付けのデモ。
動画を見せられないのがもどかしい! すごく格好良かったです。そんなに早い動きには思えないのですが、先のワークショップで体験した通り、実は超ド級に細かい動きの集合体。
参加者のみんな、「ヒュー! ヒュー!」と大盛り上がりでした。
次に、MOTION SONICの体験。
まず、装着します。
MOTION SONIC試作機。ゴツい外見がプロトタイプ感を出していて、格好いいです。
手首に装着するタイプのガジェットで、ジャイロ、マイク、加速度のセンサーから音を生成します。
手を動かしてみます。
音が、動きにジャストに合っています。
とても気持ちいいです。
僕はタップダンスもストンプもやりますが、それらとはまた違う感覚です。
どの方向にどのように動かしても、それが何らかのアルゴリズムで音楽に変換されていく。しかもタイミングがズレない。
まさに「自分の動きが音楽になっていく」感じがあります。
調子に乗って、踊ってみました。
かなり楽しい!
身体全体で踊ると、ちゃんと(手の振りだけではなく)身体の動きが音になりました。
調子に乗って、今度はみんなの前で、もっと踊ってみました。
途中でヒゲダンスみたいな動きをしていて(あとで動画を見て)悶絶しましたが、まあ身体の上下の動きを出したかったのでしょう。許します。
いやーこれは楽しいなあ。このガジェットは楽しいです。
動きを正確に拾って、ピッタリのタイミングで、ピッタリの音に変えてくれる。それが「気持ちいい」のです。
快感系ガジェット。これはすごい。すぐ製品化すれば……とか、あそこをこうしてこうすれば……とか、価格帯は……とか、いろいろ妄想してしまいます。
他のワークショップ参加者も、楽しんでいました。基本的には彼らはs**t kingzのレッスンを受けに来たわけであって、製品ですらないガジェットのテストになんて興味なかったはずなのですが、見て、触って、やってみる内に、どんどん大好きになっていったようです。
みんな踊っていましたが、特に以下の子は超ダンスが上手くて、しかも最初からMOTION SONICを使いこなしていて、すごかったです。
フリースタイル感もたっぷりで、上手すぎるだろ……この人にダンス教えて欲しい……
そんなこんなで、とても楽しいひとときを過ごすことができました。
「踊りから音楽を作る」という方向性には、プロから子どもまで、さまざまなレイヤーでいろんな可能性があることが、MOTION SONICでよーーーくわかりました。
あと、ダンスだけじゃなく、音楽だけじゃなく、まるで畑違いの用途にも応用できそうです。チベットのマニ車のように、日常の所作全てがお経の言葉に変わる、通勤ラッシュの改札が愉快になる、ティシュ配りの音がダイナミックになる。デイリーポータルZとかこういうの得意そう。ビョークもこれには興味を示しそうだなー。
そんなこんなで、とても楽しい夜でした。ところでs**t kingzさんって、普段は「シッキンさん」と呼ばれているのですよね。失禁さん!? せっかく4 letter wordsを伏せ字にしているのに、いろいろ巡り巡って元の木阿弥になっています……