何千字でも話せるネタですが、要点だけに絞ろうと思います。2つ。
● 『BLAME!』は難しい話じゃないよ
● 『BLAME!』はB5の大型版の漫画を買うのが最高だよ
『BLAME!』は、『シドニアの騎士』の弐瓶勉のデビュー長編。劇場アニメ版が、いま10日間くらい限定上映しています(そのあとはNetflixで観れるらしい)。
美しい絵、ダークな世界観、格好いいギミックやガジェットの数々に、世界中で多くのファンを持っています。
僕はアニメの方はまだ観ていないのですが、漫画は、大型版を持っています。
そして、これがもう、最高なんです。
BLAME!では黒が多用されているため、紙面が小さいと
「はて、この黒く塗りつぶされている部分は何?」
と意味不明のわけわかめになりがちなのですが、大型版であれば、境界線のグレーや白線が目立ってくるので、絵的にとてもわかりやすいです。
むしろ改めて「『BLAME!』って、こんなに絵が上手かったのか!」と驚愕します。1ページ1ページが独立してイラストになるレベルの、丁寧で、オリジナリティもクオリティも高い絵です。
あと、BLAME!と言えば難解、BLAME!=難解、BLAME!は難解なところが良い、という評判が出回っていますが、僕はこれにも意義を唱えます。少なくとも大型版では、まったく難解な漫画ではないです。
ネタバレなしで話せるので説明しちゃいますが、BLAME!は「ロードムービー」です。未来的で荒廃した世界を旅する物語。道中には定住している人も主人公を追う人もいますが、それらの人にはそれらの人々の事情があり、ロードムービーという視点からみると、わかることもわからないこともある。あくまでも主人公は通り過ぎていき、事件に巻き込まれ、なんとかしてそこを潜り抜け、旅を続ける者です。
そもそもの旅の目的は、わりとハッキリと説明されているし、なによりロードムービーだと捉えると、旅の先々の場所や小物や人々の特徴が、謎というより、風景のように美しいものに感じられてきます。
ひとつわかりにくい点があるとすると、キャラクターが見た目をコロコロと変えるところでしょうか? 意識を別の身体に転送したり、身体を改造したりして見た目が変わってしまうので、見た目で違いを判断する漫画的には、混乱するかもしれません。
ただ、大型版を改めて読んで気づいたのですが、形が変わる場合は、印象的な大コマでの立ち姿や、会話などで、誰がどれかけっこう分りやすくなっているんですね。だから僕個人としては、全く悩まずに最後まで読み終えることができました。
あとは、説明されていない部分は、考察班のお楽しみ部分ということでいいのでは? ということで良いのではないかと思います。
さて、最後はどうなるのか……最後は漫画のままで僕個人としては納得するのですが(ブレードランナー、エヴァンゲリオン、村上春樹などでさんざん鍛えられているので)、もっとはっきりした結末を知りたい! という方は、『ブラム学園アンドソーオン』を読むといいでしょう。作者本人によるBLAME!の同人本。萌え絵とか出てきますが、本編の続編も収録されています。
AKIRAなどと同じく細かい書き込みが素晴らしいので、BLAME!は大型版をおすすめします。高いし場所とるけど、その価値はあります。