タリーズで今後の人生について考えていたら、となりに、IT系っぽい、カジュアル服のおじさんたち4人組が座ってきたんですよね。
ディスってないですよ? 僕と同類ということです。
彼らはプロジェクト・マネジメントとか意思決定プロセスの改善とかを、かなり真面目に話し合っていたのですが、ふと、ひとりが、何を思ったか、唐突に、こんなことを問うてきたんです。
「カフェオレとカフェラテの違いって、わかります?」
僕が驚いたのは、その質問に対して、他の3人がいっせいに「ええーっ!?」と頭を悩ませはじめたことです。
どういうことなの!? それって常識中の常識じゃないの!?
しばし沈黙が続いたあと、ひとりが、恐る恐るこう返してきました。
「……どっちも牛乳っぽい感じがするんだよね……」
そこから!? 富士山でいうと、みんな五合目くらいから登り始めるところを、一合目から!?
僕がビックリして固まっているうちに、もうひとりが、いかにもわかった!閃いた!というていで、ポンと膝を打って、明るくこう答えました。
「あ、わかった! オレは『馴染んでる』。ラテは『馴染んでない』!」
……ぜんぜん意味がわからない。
何を言ってるんだこいつ?
他の3人も、あまりの意味不明さに全員が固まります。ついでにとなりの僕も固まりました。
「ほら、わからない? オレはさ、馴染んでるじゃん。でもラテってちゃんと混ざってない感じがあるじゃん」
ようやくわかりました……「馴染んでる」って、牛乳とコーヒーが混ざってるってことか……
僕の中の張り詰めた緊張が一気にほどけ、温かい安堵が全身を包んでいきます……
しかし、このままだと、いつまで経ってもカフェオレとカフェラテの違いには辿りつきそうにありません。
最初にアイスブレイクを提供した人もそう考えたのでしょう。諦めて、ラテとオレの違いを説明しはじめました。
他の人たちは、感心したように話に聞き入っていました。
ラテに入ってるエスプレッソの説明に入ったところで、ひとりが大いに驚きます。
「そんな小っちゃいコップなの!? ヤクルトみたいじゃん!」
どの会社か知らないけど、きっと、暖かくて楽しい会社なんだと思います。