『アナと雪の女王2』を観てきました。面白かったです。上映直後に「あー面白かった!」と大きめの声でつぶやいて、周囲に「自分は子どものお供で観たんじゃなくて、いや、観る前は多少はそういう気持ちがあったかもしれないけど、観終わった今、本当に面白かったし観て良かったと思っているのだ」という気持ちをを伝えたくなるくらいに、面白かったです。
以下、特に何も気にせず書くので、何の予備動作もなくネタバレが刺し込まれるかもしれません。
お気をつけください。
アナ雪1は、世界や設定を描くことを意図的に排除し、物語をキャラクターと人間関係に集中させて、おとぎ話っぽいノリをキープしていましたが、アナ雪2では、1では排除した世界観や設定の説明に踏み込んできました。
ただ、注意深く、「説明しすぎない」ようになっていました。「なぜエルサは魔法を使えるのか?」という大問題に挑んでいるけど、くどくどと解説しない。
映画の中では完璧に成立していて、なんのモヤモヤもなく「あー面白かった!」と言えるけど、謎が全て解けたわけではない。母と北の島の関係とか、北の島の地下の存在意義とか、なぜ4元素を統べる力が氷なのかとか、母は魔法使いだったのか、それともあのドルイド僧みたいな民レベルにすぎなかったのかとか、後者ならなぜエルサだけ魔法を使えるのかとか……
いろいろと、匂わせ程度で終わっている部分があります。
でも、何を説明して、何を説明しないのかは、丁寧に編集されていると感じました。だから謎の部分が、謎ではなく神秘に感じる。
1では童話だったアナ雪が、2では神話になっている、そう思いました。
そもそもですよ。自分たちの国が鉄砲水で壊される! というときに、若き女王が、輝くドレスを着て、水でできた馬に乗って、強大な魔法でバリアを張って国を救ったら、これはもう何百年も語り継がれる神話のできあがりですよ。「あーエルサ、これで伝説になっちゃったなー。しょうがないなー」って半笑いになりましたもの。
アナ雪2は、「もし神話成立の瞬間に居合わせたら?」という興奮を味わえる映画だな、と思いました。
基本的に厨二な僕としては、最高でした!
もうエルサ超格好いい!
だいたい、炎を氷で打ち負かすってどうなのよ? だいたいのパターンとしては、氷は炎に弱いじゃないですか? イメージとしても「熱で氷が溶ける」ってわかりやすいし、ポケモンでも氷タイプは炎の技が効くし。
なのにエルサは、氷で炎の精霊を打ち破るんですよ。あれただの氷じゃない! 絶対零度!? そういう種類の強烈なヤツに違いありません。バスタード!の氷の至高王カル=スみたいな。
エルサ自身も、氷を手のひら(中国の古代思想では気、インドの古代思想ではプラーナが出る位置)から放射するとき、広域/狭域を自由に変えられるらしいし、ゼルダのアイスメーカーみたいな使い方にも習熟しているっぽいし、氷の魔女っていうだけじゃなくて、氷魔術の使い手っていう達人感全開でした。
はるか昔。
まだ神秘が大気に満ちていた時代。
北の国の氷の女魔王が、その不思議な力で、国を救った。
大枠、アナ雪2は、そんな神話創世の物語だと思いましたが、ディティールはすごく今っぽい。
最近洗練を極めてきた、テンポと間が抜群のディズニーギャグがてんこ盛り。
特に今回は、クリストフの歌のところの80年代風なMVが最高でした。バカみたいなことに全力なのってほんと素敵です。制作スタッフ大変だっただろうけど、めいいっぱい楽しんでもいたのではないでしょうか? 楽しんでいてくれるといいなあ。
アナ雪2のラストは、人間にとっては完璧な異界に、自分の本当の居場所があると得心した、エルサの笑顔で終わります。
エルサは、アナと深い絆で結ばれて、ギリギリ人間でいるけれど、基本的には、火のトカゲ/水の馬/土の巨人/意思を持つ風と同じ側の、精霊だという……いいんですよ? いいんですけど、ちょっと切なかったです。
生身のヒトである自分としては、エルサのこれからの幸せってどうなっていくんだろう? とか、つい考えてしまいます。
まあ、最後の手紙は「エルサのヒトとしての喜びの部分は、アナが引き続きサポートしていくよ」ということを示唆しているのでしょうね。
アナ雪界最強の魔人・エルサが、心の温かさをキープしていくのは、人間と神秘の世界がこれからも繋がっていくのには、必須要素でしょうから。
そういう意味で、人間と神秘が別れる時代を描く、もののけ姫や絶対魔獣戦線バビロニアにも、ちょっと繋がっているなと思いました。
やー面白かった! 前段にも書きましたが、たぶんシナリオ段階で、ちゃんと時間とって書いてたのに、匂わせ程度で終わってしまった「世界の秘密」のシーンとか、たくさんあるんじゃないかなー?
もう一度じっくり観てみたいです。