久しぶりに家で酒を飲み、ダランとした気分になって気持ちいいので、「えいっ」を書きます(えいっ=思ったことをそのまま書いて推敲なしに公開すること)。
5年〜8年以内に、90年代ブームが来ると感じています。
90年代とひとことで言ってもいろいろあります。小室、ギャル、iモード等々……
ここで僕が言っているのは、アンダーグラウンドとか、サブカルチャーとか、レイブやクラブカルチャーとか、そういう文脈での90年代ブームです。
まず音楽とファッションあたりからリバイバルが起きて、音楽についていえば過去のオルガンバーやROOMでかかっていた系、レイブ系、ハウス系、日本語ヒップホップ系が掘り起こされ再評価され、ファッションは小綺麗ヒップホップみたいのが出てきて、やがて広告やメディアや日常のさまざまなところに90年代ブームが降りてくる。クスリと程度に笑えるクリエイティブとか、現代思想寄りの抽象的な話とか、「変わったことに興味を持つ俺!」みたいのとか。
理由は、いろいろ後づけで思いつきはするのですが(当時青春だった人が決済権を持つ年齢になった、とか、ノームコア→シティポップ→80年代ブームが来たから次は90年代ブームだとか、トレンドは周期性を持っているだとか)、そういうのはさておき、「みんな、データ分析やマーケティングやフィルタリングに飽きてないか?」ということです。
確かに昔に比べて、自分の好きそうなもの、反応しそうなものに出会う確率は、飛躍的に高まりました。あらゆるサービスが、できる範囲で僕のデータを分析し、僕が好きそうなものをレコメンドしてきます。または、レコメンドされて反応しちゃった人が、オススメしてきてくれます(このコロナ禍においては、さまざまなECサイトと、そこで売られる魅力的な商品に出会いました)。
でも、ときおり、噴出するように、こんな声が聞こえてきます。
「私たちは、興味のあることだけ知りたいわけじゃないんだ!」
人は、自分が好きなものだけを知りたいわけじゃないし、話題のことだけを知りたいわけじゃないし、共感だけをしたいわけじゃない。
ただ、今のテレビ、ネット、あとたぶん雑誌などのシステムは、あまりにもフィルタリングが得意になりすぎている。ちょっとピーキーすぎる。
たとえば、Yahoo!、LINE、スマニューなどの「エンタメ」エリアは、ゴシップの温床になっています。本来「エンタメ」というカテゴリに期待されるような、さまざまなエンタメの新着情報やレビューといった情報が埋もれてしまっている。
SNSのタイムラインは、似たような投稿ばかりか、炎上して注目されているものがが並んでいる。テレビは「たぶんみんなが多少は好きそう」な無難な番組が並んでいる(Eテレは攻めているけど)。TikTokなんて、「あなた、こういうのが好きなんでしょ?」と言っているようにしか見えない。
いずれはテクノロジーが、(僕がVoicyで短期連載していた「未来の当たり前」で長々と語ったように)、いい感じの「ブレ」を生み出して、美しいマッチングを実現します。
けど、テクノロジーを待つまでもなく、僕たちにできる方法がある。
それが、
「データ分析なんて無視だ!」
「マーケティングなんてクソだ!」
というムーブメントです(自分が相当マーケティング寄りなことを加味して言っています)。
そして、他者評価を無視し、かつセンスのいい表現をするための武器として有効なのが、アンダーグラウンド的、サブカル的アプローチだと思うのです。
これはこれで残酷な世界なのですが、アンダーグラウンド/サブカル的世界では、センスの良し悪しが最も重要なファクターとなります。
それがどれだけあなたの趣味に合うか、とか、どれだけのPDCAの結果なのかは、関係ないのです。
しかもセンスなんて定量化できないし、再現性もない。なにがなんだかわからない。
でも、リサーチありきなものって、どれも似たテクスチャを貼り付けていて、飽きませんか?
もっと新鮮な、自分の中にはなかったものが飛び込んでくるようなものを楽しみたいし、そういうことに挑戦し続ける人を応援したい気がするのですよね。
ビジネス的な話でいうと、こういうのを(瞬間的なブームだけではなく)成り立たせるには、消費者側の意識改革が重要になります。
今はゼロか100か、みたいな世界です。大当たりすれば、「当たっているから」というだけの理由でさらに当たるし、当たらないものは「当たってないから」という理由だけで当たらない。
ある意味で当たり前ですね。みんな自分の時間が貴重だから、いいか悪いかわからないものにリソースを注ぎ込みたくない。
でも、ゼロと100の中間、30〜70のところを観に行って、それに自分の感想をかけ合わせて、ひとつのこじんまりとした文化遺産とし、ネットに放流するなり、自分の中に蓄積したりする。
そういう消費行動がより一般化すれば、データで分析されちゃってアルゴリズムでフィルタリングされちゃってランキングで番付されちゃった世界から一歩抜け出し、新鮮なものに溢れた世界を楽しめると思います。
そして、その次は改めて、「コンテンツありすぎていちいち自分で評価しきれないよ、誰かオススメして」のリバイバルが来ます。
それについては……興味があれば、僕がVoicyで短期連載していた「未来の当たり前」をお聞きください。簡単にいうとVR/ARで画音が立体化し情報量が飛躍的に増えた世界で、自分の分身がネットや他メディアの海を彷徨い、ブレ含めていい感じにフィルタリングしてくれるようになると思います(同連載では「スマート・エゴ」と読んでいます)。
以上、未来のお話でした。