ときどき、何の前触れもなく、僕の中で「片付けスイッチ」が入る。
例えば今日がそうだった。
そもそも今日は、日頃の激務の疲れを癒やすべく、1日ゴロゴロする予定だった。
週休が2日あるのも久しぶりだし、思いっきりダラけよう、と。
ダラけるためには、手足を伸ばして寝転がり、かつ家族の邪魔にならないくらいのスペースが必要だ。
というわけで、ちょっと床に散らばっているレゴなどを移動したのだ。
そこで入った。片付けスイッチが。
気がついたら、おもちゃ、落書き、ノベルティ、ヘアピンやアクセ類、学校から持ち帰ってきたもの、謎の物体、謎の部品、謎すぎて家族全員見て見ぬ振りをしていた袋など、あらゆるものを、文字通り部屋の端から反対側の端まで、片っ端に仕分けしていた。
大胆に捨てていくこともした。僕が判断できないものは、家族も巻き込んで、いるかいらないかの議論をしたりした。
なんなら子どものスケッチブックの絵の1枚1枚を、とっておくかどうか話し合ったりした。
いま床のスペースを取っているさまざまな容れ物を、上手くまとめると半分にできるアイディアを思いつき、実行した。
なんだか工事じみてきた。
昼食を食べに外出して、帰ってきても、片付けスイッチはオフにならない。
大量にある本や文房具のちまちまとした整理もはじめる。半分なくなった消しゴムをしげしげと眺めながら、「まだ使えるからとっておく? それとも他にたくさんあるから思い切って捨てる?」と思案したりしていた。
夕食を作りながら、片付ける。
片付けながら、夕食を作る。
途中で、明日子どもの友だちが家に来るとの情報が入った。
ブースターだ。ガソリンをくべられたようなものだ。
片付けモードがますます加速していく。
家族も、僕の鬼気迫る様子に気圧されたらしい。僕からの質問には遅延なく答え、ときどき「きれいになっていく……」などとつぶやき、ついには自分たちの部屋を片付けはじめた。
結局、ほとんど何もしていないに近いのに、1万歩以上歩いていた。
片付けの嵐は、先ほどひと段落。むちゃくちゃスッキリしたし、ゴミも袋4つ分くらい出た。
なんていうんだろう。こういうこと、よくある。急にスイッチが入るヤツ。
スイッチは自分ではコントロールできない。入って欲しいときにどうしても入らなかったりする。かと思えば、急にスイッチが入って、高い高いハードルを一気に超えたりもする。
自分でコントロールできると便利なんだけど、今のところは、うっかり暴走列車に乗ってしまうことがある我が運命を甘んじて受け入れているだけだ。むしろ逆に、この暴走を中心にして、他のスケジュールを柔軟に組み替えて生きていたりする。
明日はゆっくりのんびりします(宣言)。