年末年始の休暇でようやっとまとまった時間を持てたので、かねてから気になっていたVR Chatをやってみた。
デバイスはOculus Quest 2。僕のOculus経験値は超低い。チュートリアルのゲームが面白かったけど、それ以外では、今のところYouTubeの360度動画を観てすげーすげー言ってるだけのレベル。
VR Chatは、ぴちきょさんとかまつゆうさんとか岩佐さんとか友人が多数沼にハマっている。すごく楽しそうだ。
本当は友人の助けを借りながらはじめればよかったのだが、なんとかなるかな?と思って、ひとりではじめてみた。
なんとかならなかった。
まず、最初のログインができない。AボタンもBボタンもXもYも反応しない。
10分ほど試行錯誤して、僕はログインすらできないのか…と落胆しかけたところで、トリガーボタンがAボタン代わりなことに気づいた。
ログインする。
真ん中にサボテンのような生命体がいる。いやデジタルだから生きてないのだけど、たちふるまいが生物のそれだ。
なんだか哀しげにこちらを見ている。
数瞬後、このサボテンが自分であることに気づく。まあ最初だからデフォルトアバターでも仕方がない。それにしても哀愁漂う生き物だ…
まずは自分の部屋で操作方法をひととおり確認した後、適当な部屋に入ってみる。
日本の旅館のようだ。
灯籠と非常灯しかない。薄暗い。
しばらく行くと、行き止まりになった。
戻る。しかし…部屋の出口がない!
仕方なく、薄暗い旅館をさまよう。
行き止まりに、地図のようなものが描いてある。
そこで気づいた。これは迷路なのだ。
正しい道を歩くと出口に出る(だからスタート地点からは出れない)。
正しい道はたぶん隠し扉のようなもので塞がれている。
隠し扉を見つけよう。
うろうろする。
まったくわからない。
ふっ、と。
目の前に、緑色の妖精が現れた。
妖精としかいいようがない。大きさは僕の半分くらいだろうか?
よくVR Chatの紹介で見るようなアニメ風の可愛いものではない。地味な、昔の絵本に出てきそうな妖精だ。
妖精は、僕に話しかけてくる。英語だ。
どうも彼女も「出口」を探しているらしい。
しかし、僕も出口を知らないし、だいいち、声を出すのはちょっと怖い。家人が寝ているせいというのもあるけど、下手に会話のキャッチボールができてしまったら、面倒くさいコミュニケーションを取らなくてはいけない。こちとらVR Chatがなにがなんだか、まださっぱりわかっていないのだ。
もうしわけないけど、無視する。
しばらくすると緑色の妖精は去っていった。
同時に、後ろの方で複数人の会話が聞こえる。
覗きに行く。
先程の緑色の妖精と、サンタクロースと、赤いつぶれたイチゴのようなアバターが、会話をしていた。
互いに知り合いというよりかは、たまたま同じルームに入ったから、なんとなく会話を交わしながら出口を探しているっぽい。
……いや、そうじゃない。
僕のことを話している。操作方法を知っているのかとか、ここがどこだかわかっているのかとか。
つぶれたイチゴが僕の目の前に来て、まっすぐこちらを見て、怒ったようになにか言っている。なまりがキツすぎてよく聞き取れないけど、whereとdo you knowだけわかる。
こちらから言えることはなにもない。
ダサいサボテンである僕は、イチゴをじっと見つめながら、ただ黙って立っている。
出口を塞がれた薄暗い空間で、非人間的な生き物に囲まれてあれこれ問いただされる。
そんな時間を15分ほど過ごし、僕はゴーグルを抜いてOculusの電源を落とした。
ちょっとここら辺りが精神的に限界だった。
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これが僕のVR Chat初体験。
どうにもならず、何もわからないまま終わった。
これはさすがにちょっと事前の準備が必要だなあ。
チュートリアルのYouTubeやブログを漁るか、友だちに頼み込んで同時刻にアクセスしてもらうか、Discordサーバーで同好の士を募集するか。
ただ、目の前に人間じゃない生き物が「立って」、こちらに向かって「話しかけてくる」、その存在感はすごくリアルでした。まさにメタバースっていう感じ。
この存在感がVR Chatの最強の武器なんだろうな。しっかりやりこんだらかなり楽しそう。