「吉祥寺の一圓が閉店する」と聞いたのは、Googleニュース経由のKichifanの記事からだっただろうか。
耳を疑った。ずっと人気店だったはずなのに……?
一圓は、ラーメン屋&餃子屋だ。世間的にはジャンボ餃子が有名だけど、醤油ラーメンもとても美味しい。
僕の子どものころからある老舗ラーメン屋だけど、「古き良きラーメン屋」という感じではなく、むしろ古び褪せたたところすら洒落たデザインに魅せている、昔から今に至るまで、ずっと今風の店だ。
閉店理由は、ビルの老朽化による取り壊し、らしい。
「それじゃあ別の場所に移って営業を続ければいいじゃないか」と、ファンとしては勝手に思ってしまうけれど、この2年に渡るコロナの営業へのダメージ、数十年も続けたというある種の達成感、原価の高騰などなど、いろいろな要因が重なって、「もういい。この辺りが頃合いだろう」という気持ちになったんじゃないかと推察する。
お疲れさまでした……!
ただし、餃子の販売は、姉妹店舗の「篭蔵」で続けるらしい。テイクアウト専門とのこと。
そういえば、以前大好きだった中延のラーメン屋「桃桜林」も、「子どもたちにこの店を継がせるとしたら、ラーメンは止めて、餃子だけにさせる」と言っていた。
ラーメンより餃子の方がコスパが良いとかあるのかもしれない。
というわけで、先日、行ってきた。一圓に。
これこれ。この外装。
昔からこうだけど、今も漂うオシャレ感。
これはチャーシュー麺。
優しい醤油味。
細すぎず太すぎない麺。
柔らかくほぐれるチャーシュー。
口直しになるほうれん草。
動画はこんな感じ。
僕的には、醤油ラーメン系では、一圓が完璧だった。
昔、ラーメンを食べたいと思ったら、ここかホープ軒だった。ホープ軒のほうが安いので、一圓に行くときは、年に何回かの特別なとき。ひと口ひと口を味わってゆっくり食べて、スープも全部飲み干してた思い出がある。
今回の訪問では、1時間ほど並んだ。「昔から愛されていた」と「どうやら話題らしい」が合体して、長蛇の列をうんでいるのだろうう。店員さんがテキパキとさばくというよりは自分たちのペースで淡々と営業していたのも影響しているかもしれない(まぁ、もうすぐ閉店だから、効率をあげる必要もないしね)。
並んでラーメン食べたのなんて、何年ぶりだろう。
ただ、自分としては、それだけの価値がある味だったと思う。もちろん美味しいのだけど、僕の場合は「思い出を食べている」という側面もあったからだ。特に友だちのいなかった高校時代、たまに寄って、全身で味わっていたのを思い出す。
吉祥寺には、この一圓のような、地域を代表する特別な店がいくつかある。
一圓はこのたび閉店を選んだわけだけど、他の店は、どれも長く長く営業されていきますように。