さくらももこには、色褪せない魅力がある。
『コジコジ』『神のちから』『永沢君』そしてもちろん『ちびまる子ちゃん』などのマンガで、または『もものかんづめ』『さるのこしかけ』『たいのおかしら』などのエッセイで、力が抜けていて面白いという、唯一無二の輝きを放ち続けている。
そんな「さくらももこ」は、いったいどのようにして生まれたのか。
のんびりした普通の人生を歩んでいた彼女が、何がどうなって、進む道を決め、運を掴み、実力を発揮し、今も人気ある作品群を生み出す作家になったのか。
その秘密を、とてもリアリティのある形で紹介しているのが、自伝的なエッセイ漫画『ひとりずもう』だ。
『ひとりずもう』は、作者本人とちびまる子ちゃんを合わせたような、フィクションが入ったエッセイマンガ。主に高校時代の話を中心として、普通の10代だったももこ(まる子)が、プロの漫画家になってしまう(!)までを描いている。
そして、この「普通の10代だったももこ(まる子)が、プロの漫画家になってしまう」の過程が、非常にリアルでドラマチックなのだ。
僕は、人生が大きく展開するときは、大きく3つの要素が動くと考えている。
1. 天啓のような気づきがある。「これってこうでは?」といった発見がある(多くの場合、挫折の後に起きる)
2. 努力がある。気づきを確かめるために、とても頑張りたくなり、普段は出せないような根気と集中力を発揮する
3. 環境が変わる。努力を優先するため、生活パターンや家族・友人関係が変わったり、一時的に疎かになったりする
僕にもそういうことがあった。
パソコン通信で社会人ダンス団体「MDC」に出会ったとき。
ブログサービスを日本で展開しようと思いついたとき。
こばへんから「ギズモードの編集長をやらないか?」と連絡を受けたとき。
子どもが生まれたとき。結婚したとき。
その他、ニフティ、100%ORANGE、ShortNote、bouncy、ハウスダンス……いつも、大なり小なり上記3つが絡み合って人生が展開していっている。
さくらももこにも、バカでかい「人生の展開」があった。
上記1〜3が起こり、直前までのほほんとしていた彼女が、プロの漫画家を目指すようになった。
その展開の自然さ、スピード感、力強さは、日常に溶け込んでいるのに、迫力がある。
いやほんと素晴らしい。
未読の人はぜひ読んで欲しい。
あと、中・高・大学生くらいの人にプレゼントするのもオススメ。人生で迷ったときの指針になるように思う。
ウチの子たちは「感動した。むっちゃ良い」と言っていた。
ところで、彼女の場合は、実際にプロの漫画家として大成功を収めるに至った。いわゆる「チケットを持っていた」のだが、この結果は、上記1〜3のような人生の展開があったことに比べれば、重要ではない。
結局チケットを持っておらず、別の人生を歩まなくてはいけなかったとしても、この1〜3は自分の精神に何らかのポジティブな影響を与えただろう。人生は旅であり、旅はゴールではなく過程が大事だからだ。
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