穏やかな流れの川がある公園で、将来についてつらつらと考えていたら、目の前にアメンボがいるのに気づきました。
アメンボは、水の流れに逆らうようにして、頑張っています。
川の流れに何度も負けそうになりながらも、懸命に手足を動かし、定位置に戻ろうとしています。
何をしているんだろう?
川上から流れてくる微生物や昆虫的なものを狙っているのかしら?
アメンボって、そうやって餌をとるの?
そんなことを思いながら、ぼんやりとアメンボを眺めていたのですが、そのうち、ふと、気づいたのです。
ときどき、アメンボが「手を伸ばす」のです。
目を凝らして、手が伸びた先を見つめます。
何もないような気がします。
特に餌らしきものは見当たりません。
でもアメンボは、機械的にではなく、明らかに何かを狙って、何がしかのタイミングで、手を伸ばしているのです。
気になるじゃないですか。
こいつはいったい何をしているんだろう? と考えながら、思わずジッと目を凝らしてアメンボを見つめてしまいました。
そして、とうとうわかったのです。
アメンボが手を伸ばしているものの正体が。
それは、「泡」でした。
水が流れていると、ときどきできる、小さな泡。
アメンボは、あの泡に手を伸ばしていたのです。
アメンボの手が触れると泡が割れます。
アメンボは、泡を割って、遊んでいたのです。
マジかよ!
アメンボ遊ぶのかよ!
泡割って遊ぶのかよ!
ウチの子たちと一緒じゃんかよ!
お風呂で泡割って遊んでいる、人間の子どもと一緒じゃんかよ!
アメンボ賢い!
すごい!
ちょっと感動しました。
アメンボみたいに、あんなに神経細胞が少ない生物すら、世界と戯れているんだ。遊んでいるんだ。
自分ももっと「遊ば」なきゃな、と思いました。
世界はきっと、僕たちが義務を果たすことを期待しているのではなく、僕たちに遊んでもらうのを待っているのです。